リーガルテックスタートアップの英ルミナンス(Luminance)は4月2日、シリーズB(資金調達ラウンド)で4,000万ドル(約60億円)を調達したと発表した(*1)。法律領域に特化した人工知能(AI)技術を新しい市場に提供し、売上高の3分の1超を稼ぎ出す米国での足場を固め、この分野における明確なマーケットリーダーとしての地位を確固たるものにすることを目指す。
今回の投資ラウンドは、米カリフォルニア州サンタモニカを拠点とするベンチャーキャピタルのマーチ・キャピタルが主導した。米送配電大手ナショナル・グリッド・パートナーズや英法律事務所のスローター・アンド・メイなどの既存投資家も加わった。
マーチ・キャピタルのパートナーを務めるヒョン・クー氏は「我々は、大規模でミッションクリティカルな問題を解決するAIネイティブ企業に投資している。今日の法務ワークフローに存在する非効率性と複雑性を考えると、すぐにルミナンスが業界をリードする大規模現モデル(LLM)で効率化を促進する可能性を見出した」と述べた(*1)。
ルミナンスはケンブリッジを拠点とするリーガルテックスタートアップだ。ケンブリッジ大学のAI専門家が2015年に設立した。
ルミナンス独自の法務領域に特化したLLMは、契約書や法律文書の作成、交渉、分析を自動化する。あらゆる言語の法律文書を読み取り、契約書の一次レビューや改善すべきコンプライアンス違反領域の強調など、様々な業務の迅速化を実現する。
ビッグ4(四大監査法人)、グローバル・トップ100の法律事務所の4分の1以上、日立製作所、横河電機など、70か国、600社に及ぶ顧客基盤を急速に拡大させている。過去2年間で年間経常収益(ARR)は5倍に成長した。
ワンクリックで契約書を最適な形態に合わせる「オートマークアップ(Auto Mark-up)」や、非法務チームが独自に契約交渉を行うためのAI搭載ツールなどを開発した。これにより「現在利用可能な最も先進的な法務領域のLLMとなる」とルミナンスのエレノア・ライトボディ最高経営責任者(CEO)は述べている(*1)。
ルミナンスのAI技術は、世界初の試みに数多く使われている。例えば、2023年に英BBC放送で行われたライブ・デモンストレーションで、対立する当事者間の契約交渉を、人間の介入なしに完全に自動化した世界初のAIとなった。
また、オールド・ベイリー(ロンドンの中央刑事裁判所)で初めてルミナンスのAIを使用し、弁護人が証拠の確認に費やす時間を4週間短縮することに成功している。
【参照記事】*1 Luminance「Luminance Raises $40 Million in Funding Round Led by March Capital」
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