投資の際、ESG(環境・社会・企業統治)への配慮を重視・選別して行なう投資「ESG投資」。企業の業績だけでなく、事業の社会的意義や成長の持続性などを評価する投資方法は欧米を中心に広く浸透してきた。三井住友DSアセットマネジメント株式会社はマーケットレポート「『ESG投資』への資金流入続く」(3月17日発行)で国内外のESG投資事情をまとめている。
ESG投資の拡大には、新型コロナ感染拡大により環境への意識が変わるなど、持続可能な社会を目指す流れが世界的に起こっていることも関係している。ESGを考慮した運用は今後さらに加速していくと考えられる。「運用者に対して投資をする金融商品の評価・開示を義務化するなどの規則にも注目される」と同社。
2020年は日本でもESG投資への認知度が大きく高まった。現内閣は「2050年温室効果ガス排出量ゼロ」を表明、米国ではバイデン大統領の当選によって、これまでの環境問題軽視のスタンスから一転して環境重視に切り替わったことも大きい。
米国の金融商品の調査会社であるEPFRグローバルによると、ESG関連株式ファンド(投資信託)への資金流入は依然として拡大傾向にあり、18年から足元までの累計の資金流入額は3300億ドルを超えつつある。投資信託への資金流入の他、公的年金など投資額の大きい機関投資家もESGの視点で資金を投じています。これは「ESGに取り組む企業は長期にわたる企業経営において経済環境や自然環境の変化などのリスクへの対応力が高いとされるため」(同社)だ。
今後、ESGはバイデン米国大統領が表明する環境重視や欧州のグリーン・リカバリー(コロナ禍からの環境に配慮した復興)など、持続可能な社会へ向かおうとする世界の流れができており、日本も脱炭素を推進するなど政府が積極的な姿勢を示している。さらに、国連が推し進めるSDGs(持続的な開発目標)にも包含される形となっており、ますます重要度が高まるのは確実だ。
これを受け、ESG関連銘柄に投資するファンドも増え、人々がファンドへの投資を通じて持続可能性に貢献できる機会が広がっている。「一方で、企業にとってESGへの取り組みが当たり前になってきているため、投資家にとってはESGの取り組みの優劣をより的確に見極める必要性が高まっている」と同社は提起。
また、グリーンウォッシュという環境保護を装うなどの企業や投資スキームも存在すると報道され、欧州ではこの3月10日から環境へ配慮した投資であるかどうかを峻別する新しい取り組みが始まっています。拡大していく時にこそ、実態が伴っているかをしっかりと見抜く目を持ちたいものです。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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