先月26日、サンフランシスコで開催された2018 Blockchain Connect Conferenceにはブロックチェーンに強い関心を持つ1,500人以上もの観客が訪れた。さまざまなパネルディスカッションやトークが繰り広げられたカンファレンスで、リップル社のCEOであるBrad Garlinghouseはグローバル決済のためのブロックチェーン・ソリューションについて語った。
同氏は今の国際決済システムは送金に時間がかかりすぎると課題を指摘し、リップル社のビジョンは同社が提供するクロスボーダー決済ソリューションを活用して課題となる取引速度を劇的に変えることだと語る。
同社が提供するオープンソースのインターレジャープロトコル(以下、ILP)では、異なる銀行の異なる台帳を結び付けて即座に決済を行うことができ、これは国際送金システムRippleNetの核心となる技術でもある。同氏は特定のブロックチェーン上の台帳が他の全ての台帳に取って代わるという意見に懐疑的な見方を示しており、「私たちはリアルタイムで台帳を結び付けること、そして台帳間のインターオペラビリティに重点を置きます。Cisco社がTCP/IPのルーターを構築するように、リップル社はILPのルーターとコネクションを構築しているのです」と話した。
また、同氏はXRPがRipple社のソリューションのひとつであるxRapidでどのように用いられ、どのようにノストロ口座を無くしていくかについても議論した。「今世界中の口座には、あらかじめ入金された何兆もの資本が眠っています。(中略)もしこの何兆ドルもの資本を置いておく必要がなくなるとすれば、どうでしょう。資本効率がより向上し、大きな一歩を踏み出せることでしょう」と展望を語った。
リップル社の懸念点としてしばしば取り上げられる「世界の銀行がXRPを使う必要がない、使う意味がない」という報道については、同氏は楽観的な見方を示している。今はそうでもいずれ状況が変わることを示す一例として、アメリカの電話会社AT&Tのケースを挙げた。AT&TのCEOを務めるRandall Stevensonは20年ほど前、AT&TはIPを使うことはないと断言していたにも関わらず、現在AT&TのネットワークはIPを全面的に使っている。
銀行もデジタルアセットについて今と同じ見方をし続けるとは限らない。「顧客により良いサービスを提供し、コスト削減になり、現実の問題を解決するプロダクトならば銀行は率先して利用することでしょう」と自社のサービスの可能性について力説した。
【関連記事】XRPとは?特徴・仕組み・購入方法
【参照サイト】Blockchain Connect Fireside Chat: Ripple CEO Speaks about Ripple Solutions for Global Payments
仮想通貨取引を始めるなら
木村つぐみ
最新記事 by 木村つぐみ (全て見る)
- ”スイッチ一つで電気がつく”の裏側。エネルギー問題をダンスで伝える映画『Dance with the Issue』 - 2023年10月19日
- 無料の飲料水をもらうだけで寄付できる。世界中に安全な水を届ける「FreeWater」 - 2021年7月1日
- プルーフ・オブ・ワークの仕組みとエネルギー問題 - 2018年5月28日
- ヨーロッパ22か国がブロックチェーンの協定に署名。デジタル・シングル・マーケットの構築に活かす - 2018年4月26日
- 「ビットコインは詐欺」ペイパルの元CEOが警鐘を鳴らす理由とは? - 2018年4月25日