リオティントとボルボ提携、低炭素素材とサステナブルな自立走行で脱炭素化。6月には気候変動対策も

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英豪資源大手リオティント(ティッカーシンボル:RIO)とスウェーデン商用車大手ボルボ(VOLV B)は9月、戦略的パートナシップの覚書を締結したと発表した(*1)。リオティントは責任ある調達にもとづく低炭素な製品・ソリューションの供給と、ボルボの持続可能な自立走行ソリューションの試験運用をつうじた脱炭素化をはかる。

今回の提携は複数の素材を対象にしたマルチマテリアル・パートナシップであり、リオティントは業務およびサプライチェーン(供給網)において、サステナビリティ(持続可能性)に関するコミットメントを進捗させる。これにより、ボルボのネットゼロ(温室効果ガス(GHG)排出量の実質ゼロ)達成を支援することもできる。また、リチウム、低炭素アルミニウム、銅、金属などの原料の供給確保をめざす。

両社は、低炭素排出アルミニウム「RenewAl」や、二酸化炭素(CO2)を排出しない「Elysis」の製錬技術により生産されたアルミニウム、「アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブ(ASI)」認証を取得したアルミニウム、「カッパー・マーク」認証を取得した銅など、責任ある調達による低炭素原料の供給を強化する。さらには電池用のリチウム供給など製品開発の機会も模索する。

リオティントのヤコブ・スタウショーン最高経営責任者(CEO)は「鉱山からショールームにいたるまでの持続可能なアウトカム(成果)をもたらし、ネットゼロの未来に向けてさらに貢献すべく、ボルボと協働していくことを楽しみにしている」と述べた(*1)。

ボルボのマーティン・ルンドステット・プレジデント兼最高経営責任者(CEO)は「低炭素原料の使用から持続可能な自立走行ソリューションの提供にいたるバリューチェーン(価値連鎖、#1)全体で取り組むことで、より良い、より持続可能な未来に貢献できる」と言及した(*1)。

両社は脱炭素化にむけた取り組みを強化する。リオティントは6月、モンゴル自然環境観光省と覚書を締結。気候変動と砂漠化対策で協働する。ボルボは移動関連サービス「タース(TaaS)」の自動運転ソリューションの提供のほか、30年までに欧州販売の半数を電気自動車(EV)にする。

また、英豪資源大手リオ・ティント(ティッカーシンボル:RIO)は2022年6月に同社モンゴル法人とモンゴル自然環境観光省が、気候変動および砂漠化対策での協働に関する覚書(MoU)を締結したと発表している(*2)。

2022年から26年にかけて、①気候変動の緩和、適応への貢献と国家レベルでのコミットメントの遂行、②モンゴルが批准する国際条約の実施サポート、③環境分野の優良事例(ベストプラクティス)の共有と研究、分析、人的資源基盤の強化、④国際イベントへの共同参画を図る。

さらに、持続可能な開発目標(SDGs)の実施に貢献する気候変動や砂漠化対策プロジェクトの開発、実施に向けたワーキンググループを立ちあげる。協働の一環として、森林病害虫の防除につながるベストプラクティスや、科学的根拠にもとづくソリューションの調査もおこなう。

世界的に気候変動問題に高い関心があつまるなか、モンゴル政府と大手民間企業による協働は、SDGsの実施および同国の都市と地方の気候変動対策に取り組むうえで非常に画期的な出来事である。

バトウルジー・バトエルデネ自然環境観光大臣は「モンゴルは気候変動にもっとも脆弱な国のひとつである。リオ・ティントと協働して国家レベルの目標の達成とパリ協定下のコミットメントの遂行につながるプロジェクトを実施したい」と述べた(*2)。

リオ・ティントモンゴル法人のアマルジャルガル・カントリーマネージャーは「世界35ヶ国で事業展開する当社は、50年までのカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みをおこなっている。モンゴル自然環境観光省との協働は、温室効果ガス(GHG)の排出削減という当社の目的に沿うものであり、気候変動対策につながる」とコメントした(*2)。

世界の平均気温は過去100年間で0.86℃上昇した一方、モンゴルは過去80年間で2.25℃上昇した。さらに、同国では森林火災、干ばつ、ゾド(豪雪や氷点下40℃以下の極寒の冬が訪れるモンゴル特有の自然災害)といった天災が、過去20年間で倍増している。18年にすべての石炭権益を売却しており、化石燃料をもたない初の資源メジャーとなったリオ・ティントの動向に期待したい。

(#1)バリューチェーン…企業の事業活動(原材料調達から製造、流通、販売、アフターサービスまで)を価値創造のための一連のながれとしてとらえ、付加価値を分析するツール。

【参照記事】*1 リオ・ティント「Rio Tinto and Volvo Group partner for low-carbon materials supply and pilot sustainable autonomous hauling solutions
【参照記事】*2 リオ・ティント「Memorandum of Understanding signed on cooperation to combat climate change and desertification

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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