金融情報大手のリフィニティブがまとめたESG(環境・社会・ガバナンス)などサステナブル・ファイナンスに関するデータの2020年度報告で、サステナブル・ファイナンス債の総発行額は5443億ドルと19年から倍増し、過去最高となった。第4四半期の発行額は1804億ドルで、前期比では14%増加、前年同期からは2倍余り増えた。20年第4四半期は四半期としてはデータ集計開始の2015年以降で最大を記録した。
中でも、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取り組みに特化した資金を調達するために発行される債券「グリーンボンド」の20年発行額は2226億ドルと前年を26%上回り、これまでの最大となった。第4四半期の発行額は633億ドルで、四半期ベースの過去最大だった第3四半期からは22%減少した。
国家や多国籍企業、金融機関がコロナ対策として資本調達を積極的に進めたことを背景に、サステナブルボンドと社会的課題に取り組むプロジェクトの資金を調達するために発行される債券「ソーシャルボンド」の発行額はいずれも初めて1000億ドルの大台を突破。特に、ソーシャルボンドの第4四半期の発行額は過去最大となる774億ドル、年間では1642億ドルとなり、19年に比べほぼ10倍増となった。ソーシャルボンドがサステナブル・ファイナンス全体に占める割合は30%と、19年の5%から存在感を増している。
サステナブル債の2020年発行額は1276億ドルと、前年から3倍余り増え、発行本数は106%増。発行体としては政府や政府機関が全体の56%と前年から26%拡大し、集計開始の2015年以降の最大を記録。一方、企業は全体の43%を占めた。
地域別では欧州が全体の53%でトップ。米州が26%、アジア・太平洋地域が16%と続く。引受手数料のランキングでは、JPモルガンが全体の6.3%と、前年から2.5ポイント上げて首位となった。BNPパリバとクレディ・アグリコルがこれに続いて上位3社を形成。上位10社による収入は全体の49%とほぼ過半数となり、前年の38%から割合を高めた。
サステナブル関連ローン組成額は2020年は1994億ドルと、前年から3%増加。第4四半期は前期から倍増の753億ドルで、2019年第4四半期以来の規模となった。欧州の借り手は全体の64%を占めた。米州は16%、アジア太平洋地域が14%で続いた。融資額別の銀行別ランキングは、BNPパリバが5.9%でトップの座を維持し、前年から市場シェアを0.1ポイント高めた。日本では三菱UFJフィナンシャル・グループが4.8%で2位、三井住友フィナンシャルグループが4.5%が3位に入った。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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