イーサリアムのスケーリングソリューションであるPolygonのネットワークが4月11日、一時停止したことが明らかとなった。Polygonの運営企業が公表している。
今回の問題についてPolygonは、「指定の時間にネットワークが停止する可能性がある」ことを事前に公言していた。稼働が再開されたのは、停止後8時間経過してのことであったため、ネットワークの安定性に懐疑的な指摘が出されている。
ネットワークの停止が長引く原因になったのは、アップデートの際にPolygon PoSチェーンにて使用されているTendermintにあったとしている。Tendermintは、ブロックチェーンにおけるコンセンサスアルゴリズムとP2Pネットワークを容易かつ安全に構築できるソフトウェアだ。
今回停止したのはPolygon PoSチェーンにて使用されているTendermintをベースにしたコンセンサスレイヤーのHeimdallだという。ブロックを生成するレイヤーのBorに対してアップグレードを行ったことがHeimdallに影響し、3分の2以上のコンセンサスに達しないことで結果的にネットワークがブロックを生成できなくなったとのことだ。
Polygonネットワークはこの問題に対処するために一時的にホットフィックスを導入し、現在ネットワークは稼働を再開している。ホットフィックスとはソフトウェアに発見された不具合を解消するために配布される修正プログラムのうち、問題に迅速に対応するために発行されるものだ。今回の問題でユーザーの資金やデータへの影響はないとしている。
Polygonは、イーサリアムのトランザクション数が毎秒数十件程度であることを課題とし、それをスケールする意図で2017年に開発がスタートしたスケーリングソリューションだ。インドのソフトウェアエンジニアであるJaynti Kanaki氏、Sandeep Nailwal氏、Anurag Arjun氏によって、Matic Networkという名前で2019年にローンチされている。
Polygonはイーサリアムに比べ毎秒数千件のトランザクションを処理することが可能だ。手数料平均は約0.5円ほどでDAppsやNFTマーケットプレイスにも数多く利用されている。2022年3月現在では、MaticはPolygonへとリブランディングしている。
Polygonは今回の問題に対して正確な原因を追求するとしており、随時情報を更新していくと述べている。
【参照記事】PoS Chain Downtime and Heimdall Issue
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