インパクト投資家のNorth Sky Capitalは7月9日、最新のインパクト・セカンダリー・ファンド(#1)である「Clean Growth VI(CG VI)」のクロージングを実行し、2億5,000万ドル(約400億円)のコミットメントを獲得した(*1)。
米国、カナダ、ブラジル、シンガポール、英国、欧州の年金基金、財団、資産管理プラットフォーム、ファミリーオフィスなどが出資する。
CG VIは、プライベート・エクイティの分野で高いリターンをもたらすとともに、環境と社会にポジティブな利益をもたらすことを目指す。主にエネルギー移行、気候テック、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、健康的な生活といった分野に投資する。欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の8条ファンドに該当する。
North Skyのマネージングディレクター兼IRヘッドを務めるグレッチェン・ポスチュラ氏は「弊社は2013年に世界初のインパクト・セカンダリー・ファンドを立ち上げ、CG VIは9本目のインパクトファンドとなる。すでにCG VIの60%近くを投資しており、今月末には投資家への最初の分配を予定している」と述べた(*1)。
North Skyは、今年で24年を迎えるインパクト投資のパイオニアだ。様々なインパクトファンドを通じて、140以上のインパクト投資に14億ドル以上を投資してきた。
インパクト・セカンダリーとサステナブル・インフラストラクチャーの2つを主要な投資戦略とする。05年頃にプライベート市場でサステナブル投資を始めて以来、サステナブル投資をリードする。
インパクト・セカンダリー・チームは、GP(ゼネラル・パートナー、ファンド運用者)、LP(リミテッド・パートナー、ファンド投資家)、企業の創業者などとのグローバルネットワークを活用し、魅力的でインパクトの大きい投資案件を発掘している。
同チームの共同責任者であるトム・ヨルゲンセン氏は「セカンダリーの買い手にとって、特にインパクトセクターの市場環境は絶好調だ。LP主導のインパクト投資に特化したセカンダリー投資の規模は小さく、伝統的なセカンダリー・ファンドの範疇から外れる傾向があるため、我々の注力分野での競争は少ない。GP主導では、我々のインパクト・パラメータに合致し、我々の資金を必要とする投資可能な企業のユニバースが大きく拡大している」と述べた(*1)。
同チームは、グローバル先進国市場において、水質浄化、スマートグリッド、ヒートポンプ、電気自動車(EV)の充電、ヘルスケアなどの分野に注目している。
現在では、ベンチャーキャピタル、グロースエクイティ、バイアウトファンドなどのLPセカンダリーから、シングルアセットやマルチアセットのGP主導案件まで、幅広い機会がある、とヨルゲンセン氏は見ている。
最近では、伝統的なエネルギー分野におけるプライベート・エクイティ投資家として広く認知されているGPと、メタン回収・再利用、エネルギー移行のエンジニアリング、水技術といった3件の取引を行った。
(#1)セカンダリー・ファンド…投資家が既存のプライベート・エクイティ投資を売却できる流動性メカニズム。セカンダリー(2次市場)を通じて、投資残存期間のあるプライベート・エクイティの持分の売買が可能となる。
【参照記事】*1 North Sky Capital「NORTH SKY RAISES $250 MILLION IMPACT SECONDARIES FUND」
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