野村アセットマネジメント株式会社は2月18日、運用対象の日本企業のESG評価に使用する「ESGスコア」で、温室効果ガス排出量を評価する項目に温室効果ガスの吸収量を新たに反映すると発表した。国内の資産運用会社で温室効果ガス吸収量を評価に組み込むのは初めて。
同社のESGスコアは、環境、社会、ガバナンス、SDGsの観点から約100項目にわたる企業の非財務情報を調査・分析、ESGを考慮した企業価値の評価を行う。評価項目は毎年見直し、 運用ポートフォリオにおける投資判断や新規の商品開発に加え、顧客への報告などにも活用している。
今回の改定では、日本企業を対象にESGスコアの温室効果ガス排出量を評価する項目において、排出量から企業の開示した温室効果ガス吸収量を控除し評価するようにした。この温室効果ガス吸収量には①森林やCCUSなど、大気中から直接温室効果ガスを吸収する「除去量」②自社の技術・製品・取組みなどにより削減に貢献できた「削減貢献量」③カーボン・クレジットによる「オフセット量」などが含まれる。CCUSはCarbon dioxide Capture, Utilization and Storage(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)の略称。
温室効果ガスの吸収活動に取り組み、吸収量を開示する企業が増える中、「吸収量を投資家の評価に組み込んで欲しい」という企業からの要望を受けての改定という。吸収量に関して、同社は「気候変動問題緩和のための取組みである温室効果ガス排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)は、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いた総和をゼロにすることを意味する。企業が最大限の削減努力をした後に残ってしまう残余排出量については吸収量を活用する必要がある」と考えている。同社の「2050年ネットゼロ目標」と「2030年中間目標」を達成するための取り組みでも、企業が開示する温室効果ガス吸収量を参考にしていく。
【参照記事】ESG債券運用の受託について
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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