インフレ期待・利回り上昇の可能性もインフレ急加速は予想せず、ナティクシスIM4月マクロ・マーケット見通し

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フランスの大手金融グループ ナティクシスの運用会社ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは3月26日、4月マクロ・マーケット見通しを公表した。深刻なコロナ禍が続く米国でワクチン接種が円滑に進み、広範囲にわたる財政支援策も導入されたことで成長見通しが改善しており、これに伴いインフレ期待も上昇。結果、利回りの上昇傾向が続いている。しかし同社は「今後数ヵ月間はインフレ率の上昇が見込まれるものの、引き続き制御不能なインフレの急加速を予想しておらず、従って利回りはやがて低下に転じる」と予測している。

連邦準備制度理事会(FRB)が最近の市場の動きに対して懸念を示さなかったことを、市場関係者には意外に映るかもしれないが、同社は「カーブの長期セクターが上昇しているが、金融環境は極めて緩和的なまま。実質利回りは急上昇しているものの、明らかにマイナス圏にとどまっている」と指摘。また「労働市場は改善しているが完全雇用状態に達するまでには時間がかかる可能性が高い。従ってFRBの現在のスタンスは適切」と評価した。

米国以外では、ECBが利回りの動きに対する懸念を示しており、資産買い入れの拡大により利回り上昇を抑制している。このため「米国とドイツの利回り格差が今後一段と拡大する可能性があるが、欧州の利回りの抑制がいずれ米国の利回りに対しても抑制効果を発揮することになる」というのが現時点の予測だ。米国債以外では「市場は利回り上昇を難なく消化している。さらにクレジットスプレッドが底堅い動きを見せ、利回り上昇による影響をある程度吸収している」と見る。

同社はデュレーションの長さを理由に投資適格債に対してやや慎重な見方をとっており、「ハイイールド債を選好するが、デフォルトリスクが根強いため、選別的なスタンスをとる。新興国市場は金利上昇環境では苦戦する傾向にあるが、世界金融危機時や2013年の「テーパー・タントラム」時に比べると状況は改善しており、またスプレッドの縮小余地も大きいため、新興国のハードカレンシー建て社債市場は金利上昇をある程度吸収できる可能性が高い」とした。

利回りの急上昇にもかかわらず、株式市場も底堅い動きを見せている。ワクチン接種が加速し、ますます多くの国で経済活動が再開されればローテーションに拍車がかかる可能性もある。このため、同社は金融、エネルギー、素材などのセクターの上昇が続くと予想。「欧州株式と日本株式も、バリュー株のウエートが大きいことが有利に作用することになろう。概して、利回り上昇により株式市場の上昇傾向がとん挫する可能性を懸念する声もあるが、同社は基調的な支援材料に変化はない」と判断する。

4月以降は「非常に力強い利益成長が予想され、ワクチン接種は第2四半期に一段と加速する見込みで、財政・金融面での景気対策が継続され、市場の流動性は潤沢で、大量のキャッシュが積み上がっている」状態を予測。さらに「投資家はインフレ、バブル、バリュエーションなどに対する懸念を強めているため、下値は限定的。こうした状況では、当社は金利が(依然として)低水準にあるリフレ環境を反映してリスク選好姿勢が維持されると考えており、調整局面では『押し目買い』を引き続き考えたい」というスタンスだ。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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