財務省、暗号資産取引を外為法の規制対象に

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財務省は11月16日、関税・外国為替審議会の外国為替等分科会にて、金融活動作業部会(FATF)による勧告を踏まえた外国為替及び外国貿易法(外為法)の見直し計画を明らかにした。暗号資産取引を外為法上の資本取引規制の対象に追加するようだ。

8月30日に公開されたFATFの第4次対日審査報告書にて、日本は「重点フォローアップ国」との評価を受けていた。評価は「通常フォローアップ国」「重点フォローアップ国」「観察対象国」の3つに段階分けされ、「重点フォローアップ国」は日本のほかに、カナダ、シンガポール、米国、中国、韓国など19か国が指名されている。このFATFからの評価を受けて、財務省は今回の対応に至った。

財務省は、今回の外為法見直しの背景として3つの要素を指摘している。まず、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展やアフガニスタンの情勢悪化などにより、テロや大量破壊兵器の拡散防止が国際社会において喫緊の問題となったことだ。FATFはテロ組織による資金洗浄を懸念している。

次に、匿名性の高い暗号資産を悪用した不正な資金調達のリスクが顕在化したことに言及した。そして、FATFの第4次対日審査で銀行や暗号資産交換業者がFATF基準に従い、資産凍結措置に係る義務を果たせるよう、日本の制裁義務を明確化すべきと指摘されている。

これに対して財務省は見直しの方向性として、以下の3つを示した。

  • 暗号資産取引を外為法上の資本取引規制の対象に追加
    銀行の預金取引などと同様に、居住者と非居住者との間の暗号資産に関する取引(管理・貸付・売買)を資本取引規制の対象とし、資産凍結措置を可能とする
  • 暗号資産交換業者の確認義務
    暗号資産交換業者が行う顧客の暗号資産の移転について、制裁対象者に対する移転に該当しないことの確認義務を追加する
  • 資産凍結措置遵守のための態勢整備義務
    銀行や暗号資産交換業者などによる、資産凍結措置の適切な履行を確保するため、リスク評価を行うことや、その提言措置を講ずることを含めた遵守基準を定めること。また当局が、銀行や暗号資産交換業者などによるガイドラインの遵守状況についてモニタリングを行うとともに、必要に応じて指導・助言や勧告命令を行うことができるようにする

【参照記事】FATF第4次対⽇審査結果と 外為法における対応

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株式会社techtec リサーチチーム

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