ESG(環境・社会・ガバナンス)に特化した運用会社ミロバとBNPパリバ・アセット・マネジメント(BNPパリバAM)は11月27日、フランスの再生可能エネルギー開発企業Arkolia株の過半数を取得したと発表した(*1)。2億ユーロ超(約320億円)を投じる。
ミロバとBNPパリバAMは、それぞれが運用するMirova Energy Transition Fund 6 (MET6)およびLow Carbon Transition Infra Equity Fund Iを通じて、Arkoliaの共同創業者や少数株主よりそれぞれ同等の株式を保有し、同等のガバナンス権を取得した。Arkoliaの成長資金として自己資金も投じている。Arkoliaの共同創業者であり、現社長のジャン・セバスチャン・ベシエール氏は主要株主として留まる。
Arkoliaは2009年に設立され、モンペリエ近郊のモーギオを本拠地とする分散型エネルギー発電分野のリーダーだ。フランス市場では、屋上設置型太陽光発電のIPP(独立系発電事業者)として第2位となる。地上設置型太陽光発電や風力発電セグメントなどの分野でも積極的に事業を展開している。2023年時点で稼働済みの総設備容量は562メガワット(MW)である。
今回の取引はArkoliaの成長を加速させる重要なマイルストーンとなる。プロジェクトのパイプラインへの資金を調達するとともに、国内での事業展開を強化し、人材への投資も継続することができる。
Arkoliaは今後も多角的なエネルギー事業を展開し、発電容量を1.5ギガワット(GW)近くまで拡大させる方針だ。売上高を倍増して5億ユーロ超を目指し、今後数年間で350人以上の従業員を雇用することを目指す。本取引は25年前半に完了する見込みである。
ミロバのエネルギー移行ファンドの責任者を務めるラファエル・ランス氏は「分散型エネルギーによる脱炭素化に向けた急成長分野であるフランスの屋上太陽光発電において、Arkoliaがそのリーダー的地位を確固たるものにできると強く確信している。同分野はArkoliaが長年にわたり培ってきた実証済みの拡張性が必要とされている」と述べた(*1)。
ミロバが運用するMET6 は、エネルギー生産と消費の脱炭素化に不可欠な強靭なインフラへの資金ニーズに応えることを目的とする。再エネ、蓄電、エネルギー効率の市場における実証済みの技術に資金を提供するとともに、低炭素の電気自動車(EV)と水素の開発を継続的に支援する。
BNPパリバのLow Carbon Transition Infra Equity Fund は、再エネ開発、輸送の脱炭素化、サーキュラーエコノミー(循環経済)、炭素回収など、低炭素インフラプロジェクトに投資している。
【参照記事】*1 ミロバ「New horizon for Arkolia with Mirova and BNP Paribas Asset Management (BNPP) joining forces to invest more than €200M」
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