米クレジットカード決済大手のマスターカードが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と暗号資産を接続するためのスマートコントラクトを研究開発する方針であることを明らかにした。4月29日に開催された第1四半期決算説明会で、CEOのMichael Miebach氏が発表している。
決算説明会では、多くの新たなパートナーシップによって、世界中の銀行がデジタル資産を開発するための支援をしていると説明された。特に、スマートコントラクトをCBDCと組み合わせる方法を検討しているという。
マスターカードは、2月17日にバハマのCBDCデジタルサンドドルに対応したプリペイドカードを発行する計画を発表していた。バハマ以外にも、世界中の中央銀行と共にCBDCへの対応を強化していく方針を明らかにしている。
CEOのMiebach氏は、マスターカードがCBDCへの対応を強めている理由として、リアルタイム決済の重要性に言及した。クレジットカード決済は、既存の決済システムの中で最も処理性能が高いとし、引き続き自分たちが市場をリードしていくとしている。
そして、そのためにはCBDCへの対応は不可欠であり、その一環としてスマートコントラクトへの投資を進めていくとのことだ。
Miebach氏によると、欧州中央銀行やイングランド銀行を含むいくつかの中央銀行は、CBDCのシステム構造として2層アプローチを採用するという。2層アプローチとは、中央銀行がCBDCを発行し、民間部門がそれを配布するという構造だ。
日本銀行の発行する日本円でも同様の構造が採用されており、先進国では基本的にこの構造が用いられている。そのため、CBDCを発行する際も同じ仕組みが採用されることが予想される。
つまり、CBDCの実現には民間部門との連携が欠かせないのだ。マスターカードは、CBDCの商用利用を実現するために、各国の中央銀行に対してリソースや決済システムを提供していく方針を示している。
CBDCについては、大手会計事務所PwCが各国の開発状況をまとめたレポートを4月に公開していた。リテール型(個人消費者向け)とホールセール型(銀行間)に分けてランキングが作成されており、ホールセール型の第10位には日本がランクインしている。
【参照記事】Mastercard Investing in Smart Contract Tech to Build on State-Backed Digital Currencies
株式会社techtec リサーチチーム
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