シンガポールの金融規制当局(MAS)は2月15日、現時点でNFTを規制する計画は立てていないことを明らかにした。国会での質問に金融担当大臣が回答している。
シンガポール政府は、NFTに対して中立的な姿勢を見せている。一方で、現地メディアFintech Newsによると、NFTに関する国会質問に対して、金融担当大臣のTharman Shanmugaratnam氏が次のように述べたという。
「NFTの独自性は、投機的な需要と相まって価格の高騰を引き起こしました。そのため、投機熱が弱まると投資家に甚大な損害を及ぼす可能性があります。さらに、NFTには重大な法的複雑性とリスクが伴います。例えば、デジタル画像のNFTを所有している場合、所有権とその他の権利を管理するための法的枠組みを整備する必要があるでしょう。」
リスクについて言及しながらも、現時点では規制しない意向を明らかにした。ただし、今後の状況次第では方針が変わる可能性があることも補足している。大臣によると、フラクショナルNFTに分類されるものは、MASによる監督が必要になる可能性があるようだ。
フラクショナルNFTとは、一つのNFTを複数に分割して所有するタイプのものだ。高額なNFTを複数人で所有したい場合などに用いられる。このような性質を持つNFTは、証券に該当する可能性が高いため、MASも監督が必要との見解を示している。
シンガポールでは、1月17日に国内における暗号資産関連の広告を制限するガイドラインが公開された。暗号資産取引所や暗号資産ウォレット事業者、銀行などは、個人投資家向けの広告を制限するよう求められている。
一方で、ブロックチェーンを使ったイノベーションは高く評価してきた。米国や日本などの先進国で暗号資産関連の規制が強まる中、シンガポールやUAE(ドバイ)などの誘致策が目立ってきている。
シンガポールでは、1月時点でNFTやメタバース関連の事業に取り組むベンチャー企業が9社以上存在しているという。
【参照記事】MAS Will Not Be Regulating Activities Related to NFTs for Now | Fintech Singapore
株式会社techtec リサーチチーム
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