アラブ首長国連邦(UAE)は、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)を誘致するため連邦ライセンスを付与する意向であることが明らかとなった。2月17日に米メディアBloombergが報じている。
政府関係者によると、UAEの商品証券局は国内にVASPを設立することを許可するための法改正をする最終段階にあるとのことだ。
法改正により3月末までにライセンスを付与できるようにする予定であり、シンガポールや香港に対抗して早期に規制を整備することで、国内に暗号資産関連企業を誘致する狙いがある。
UAEの構成国であるドバイは、2021年12月に市内の超高層ビルであるドバイ世界貿易センター(DWTC)に、VASPに有利な規制特区を設立すると発表した。その翌日、大手暗号資産取引所BinanceはDWTCと提携しており、今回の報道でUAEに参入することが予想される企業としてBinanceがあげられている。
また、UAEは暗号資産マイニングのためのエコシステムの構築も進めたいと述べている。マイニングには多くの電力を要することから温室効果ガスの排出にも大きく影響があるため、世界中の環境保護論者などに注目されている。
急速に暗号資産業界への参入を進めているUAEだが、先端技術を扱うビジネスを誘致したりすることの反面、暗号資産は違法な資金調達に利用されるリスクも孕んでいるため、バランスをとることにも尽力している。
Bloombergによると、UAEは米国や英国、シンガポールのアプローチを考慮した上でのハイブリットな規制を導入していくことが予想されるという。またドバイは、14の公的機関と16の民間機関による暗号資産に対するリスク評価を行っており、完全な禁止ではなく適切な規制によってリスクは軽減できると語っている。
しかしながらマネーロンダリングに利用されることにより、テロ行為を助長する危険性もあることが懸念される。世界的な金融犯罪を取り締まる金融活動作業部会(FATF)は、UAEをこれまで以上に監視する必要があるかどうかを数週間以内に決める予定だ。
【参照記事】UAE Readies National Crypto Licensing in Push to Embrace Fintech
株式会社techtec リサーチチーム
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