オープンソースを通じた大規模イノベーションの実現に取り組む非営利団体Linux Foundation(リナックスファウンデーション、LF)は現地時間の9月1日(日本語版は9月8日)、投資家、銀行、保険会社、企業、政府、NGO、教育機関が、AIを活用したオープンソース分析とオープンデータにより気候リスクと機会に対処できるようにすることを目的とした新イニシアチブ「LF Climate Finance Foundation (LFCF) 」の設立計画を発表した。
2015年のパリ協定における合意は、世界の投資コミュニティに前例のない機会と課題の両方をもたらした。壊滅的なレベルの地球温暖化を回避し、レジリエンス(回復力)を確保するには、毎年少なくとも1.2兆ドルの気候変動対策への追加の資金調達が必要という試算がある。「著しい投資の増加を達成するには、気候関連のリスクと機会を十分に説明するための優良なデータと分析ツールが必要」として、LFCFはこの取り組みを支援するためにOS-Climateプラットフォームの構築に着手。
同プラットフォームは、すべての地域、セクター、資産クラスの気候関連リスクを管理し気候変動対策に融資するための予測分析ツールと投資プロダクトを促進する「複数の物理的・経済的シナリオ」「グローバルでオープンなデータコモンズ」「経済および金融モデル」から構成されることが期待されているという。
「主要な年金基金、銀行、政府、市民社会からは、企業の気候データやパリ協定の目標達成に必要なデータへの公共のアクセスと、財務上の意思決定に情報を提供する優良なツールを求める要請がある」とLFは計画の背景を説明する。
LFCFの提供が開始されれば、投資家や銀行は、ポートフォリオおよび個別の融資・投資の分析にプラットフォームを使用できる。政府はプラットフォームにより、自然災害に強いインフラへの投資、効果的な政策の策定を行い、規制当局が市場関連の気候リスクを管理できることが期待される。研究者、投資家、NGOもそれぞれ活用できる構想だ。
リナックスファウンデーションは2000年設立。1000を超えるメンバーによってサポートされており、オープンソース ソフトウェア、オープン スタンダード、オープン データ、およびオープン ハードウェアに関するコラボレーションで世界をリードしている。
【参照記事】LF Climate Finance Foundation、金融セクターにおける気候リスクと機会に取り組むオープンソース イニシアチブをホスト

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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