東証プライム上場企業の40%が資本効率改善計画を開示、PBR1倍未満の企業の対応進む

株式会社東京証券取引所は1月15日、「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しているプライム市場とスタンダード市場の全上場企業のうち、要請に基づいた取り組みを開示した企業の一覧表を公表した。

東証は2023年3月、プライム市場とスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を実施。同年7月中旬時点で、プライム市場上場会社(3月期)の31%において要請を踏まえた開示が行われるなど、各企業で取り組みが進められたが、国内外の株主・投資者からは、さらなる進展と情報の公開を要望する声が上がっていた。

状況を踏まえ、東証では、対応を進めている企業の状況を投資者に周知し、企業の取組みを後押ししていく観点から、一覧表の公表を実施。対応を進めている企業の状況を投資者に周知し、企業の取り組みを後押ししていく狙い。

掲載されている企業は、集計対象時点(23年12月末)で直近に提出されたコーポレートガバナンス報告書で「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」というキーワードを記載している場合は「開示済」、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)」というキーワードを記載している場合には「検討中」としている。

今回の公表分では、プライム市場の40%(660社)が具体策を開示、9%が検討中(155社)、スタンダード市場の19%(300社)が開示(検討中を含む)。プライム市場の3月期決算企業に絞ると、59%(673社)が開示(検討中を含む)しており、23年7月時点の31%から倍近くまで増加した。

PBR(株価純資産倍率)1倍未満かつ時価総額1000億円以上のプライム市場上場会社では78%が開示(検討中を含む)している。開示済みの企業のうち47%が英文開示を実施していた。

一方で、PBRが高い/時価総額が小さい企業では、進捗は見られるものの、相対的に開示が進んでいない状況が続いている。

東証は、開示企業数に一定の進捗が見られたとして、引き続き、検討・開示を行う企業数の増加に取り組む。併せて、株主・投資者の視点から、企業の取り組みがブラッシュアップされていくことが重要だとして、投資者の視点を踏まえた対応のポイントや、投資者の高い支持が得られた取り組みの事例の公表などを通じ、上場会社における実効的な取り組みの検討・実施をさらに促進していくとしている。

このうち、投資者の視点を踏まえた対応のポイントや投資者の高い支持が得られた取組みの事例については、今月17日に開催予定の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議第14回会合で議論を行った後、1月下旬から2月上旬に公表する予定。

一覧表は毎月更新。各月末時点の状況に基づき、翌月15日を目途に日本取引所グループのウェブサイトに掲載する。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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