クレジットカード決済大手のJCBが、ブロックチェーン開発企業Keychainとの提携を1月19日に発表した。Machine to Machine(M2M)領域におけるマイクロペイメント向け決済インフラに関するソリューション開発の実証実験を開始する。
今回発表したマイクロペイメント向け決済インフラに関するソリューションでは、次の3つの考え方が取り入れられているという。
1. デバイスのアイデンティティと帰責者のアイデンティティの紐づけ
人間の意思の元で行われる従来の決済とは異なり、M2Mではデバイスが自動で決済を行う。そのようなケースにおいて、当該デバイスに責任を有するもの(帰責者)を特定し、デバイスと帰責者の関係性を把握した上で、デバイスによる取引を許容することが重要な社会課題になる。また、デバイスと帰責者のアイデンティティをそれぞれ特定し、適切な確認の上で紐付けを行う必要がある。
2. 取引をオフライン環境含めエッジ(ネットワーク端末)側で行うインフラの構築
M2Mにおける決済シーンでは、取引件数が増大になる一方で取引金額は低額になっていくことが想定される。また人間が行う従来の決済とは異なり、より即時性が要求される可能性が高い。これらを踏まえて、サーバーやクラウド層での処理ではなくデバイス間やフォグ層での処理を実現する必要がある。
3. 取引履歴を把握し、従来環境での決済に流し込むインフラの構築
M2Mにおける決済シーンでは、デバイスの喪失や通信環境からの断絶といった制約が一定程度発生することが想定される。取引を適宜分散台帳に記録していくことで、取引履歴を安全に維持するインフラの構築を行う。
今後は、技術検証やユースケースの検討を進めた上で、2021年中のプロトタイプモデルによる本番検証、2022年以降の実用化を目指すとした。
なお今回の取り組みでは、Keychainの開発するKeychain Coreが使用されるという。Keychain Coreは、どのブロックチェーン基盤上でも利用できるアプリケーション開発フレームワークだ。利用者は、既存のインフラシステムやアプリケーションを簡単に統合することができる。
JCBは今後、Keychainとの提携を通してサイバーセキュリティの強化や次世代の決済領域におけるオペレーション整合性の向上など、新たな決済ソリューションサービスの提供を目指すという。
株式会社techtec リサーチチーム
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