「ZARA」展開のインディテックスとWWF、生態系保全で3年間のパートナー契約締結

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「ZARA(ザラ)」などを展開するスペインのアパレル大手インディテックス(ティッカーシンボル:ITX)は2022年12月20日、世界自然保護基金(WWF)と3年間にわたるパートナーシップ契約を締結したと発表した(*1)。欧州、アジア、アフリカ、中南米地域の生態系保全を図る。

提携を通じ、両社はWWFが各地域で展開する9つのプロジェクトにおいて、森林や河川水辺の回復・保全、および生物種・生息地の保護に注力する。再利用可能な代替物の使用を促すことを目的に2021年に開始した、紙製の袋および封筒の販売から得られた資金の一部を生態系の保全活動に充てる。インディテックスは最低年300万ユーロ(約4億2,000万円)をWWFに寄付し、22~25年の契約期間の間で合計1,000万ユーロを寄付する計画だ。

森林の回復・保全プロジェクトでは、生物多様性の保全に注力すると共に、スペイン全土の森林の13%を占めるカスティーリャ・ラ・マンチャ州の持続可能な発展をサポートする。トルコ、イタリア、ギリシャでも森林回復に向けた取り組みを支援する。河川水辺の回復・保全では、北アフリカ、チュニジア、アルジェニアで重点的に取り組む。ベトナムでは、メコン川上流の湿地の回復を通じ、気候レジリエンスと生物多様性の向上を図る。種および生息地の保護に関するプロジェクトは、アルゼンチン、ブラジル、ボリビア、パラグアイで熱帯雨林や湿地の保全を進める。メキシコでは準絶滅危惧種のジャガー、絶滅危惧種のオオカバマダラ(蝶の一種)などの保護に取り組む。

両社はウォータースチュワードシップ(統合的に水資源を管理するための行動規範)や生物多様性の保全などに取り組む財団も設立する方針だ。インディテックスグループのバリュエーションにおけるインパクトマップを作成した後、各アクション、インパクト、進捗を見直す。その結果を踏まえ、WWFと2度目の契約を結び、繊維業界の変革につながる分野に予算を効果的に割り当てる計画である。

インディテックスのオスカー・ガルシア・マセイラス最高経営責任者(CEO)は「サステナビリティ戦略を通じ、我々の取り組みが人びと、コミュニティ、天然の資源により大きなポジティブインパクトもたらすことを模索している。優れた実績とグローバルリーチを誇るWWFは、当社の環境コミットメントを強化するうえで最良の長期パートナーになる」と述べた(*1)。

世界で自然の保護や生物多様性の保全に向けた取り組みが活発化している。2022年12月には、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、30年までに各国が取り組む23項目の世界目標「昆明・モントリオール目標」が採択されたことや、「グッチ」や「サンローラン」などを傘下に持つ仏高級ブランドケリング(KER)は同じ2022年12月に、女性のエンパワーメントに焦点を当てた自然の保護・回復を図るファンド「Climate Fund for Nature」を設立すると発表した(*2)。仏化粧品大手ロクシタン・インターナショナル(銘柄コード:000793)と協働する。

【参照記事】*1 インディテックス「News Detail
【参照記事】*2 ケリング「Kering and L’OCCITANE Group join forces to finance nature protection at scale with the Climate Fund for Nature

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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