イーサリアムのマイナーが、ガスリミット(Gas Limit)を過去最高の15Mにまで引き上げた。ガスリミットの引き上げは今回で7回目となる。
ガスリミットは、マイナーがブロックを生成するために必要な計算処理を制御するための仕組みだ。ガスリミットを引き上げることで、1つ1つのブロックにより多くのデータを格納することができる。なぜなら、1回の計算作業でより多くのトランザクションを処理することが可能になるからだ。
つまり、ガスリミットの引き上げは結果的にトランザクション詰まりを解消する手段となりうる。
一方で、ガスリミットの引き上げには一定のリスクも伴う。より多くのデータを処理するということはより多くのマイニングエネルギーを消費することを意味するため、環境に悪影響を及ぼす。また、チェーンの分岐やオーファンブロック(ブロックの孤立)も発生しやすくなるため、ブロックチェーン全体のセキュリティにも影響が出るのだ。
そのため、マイナーがガスリミットを引き上げるのには制限が設けられている。マイナーとしてはガスリミットを引き上げることで効率よくマイニングが可能となるが、セキュリティの観点からそれは認められていない。
今回の引き上げは、事前にredditで議論が行われていた。イーサリアム共同創業者のVitalik Buterin氏もガスリミットの引き上げには賛成しており、「(Berlinハードフォークにより)イーサリアムが以前より安全になった今なら、ガスリミットを引き上げても問題ないと考えている。ガスリミットの引き上げは、結果的に手数料を安価に抑えることに繋がる。」
イーサリアムは現在、スケーラビリティ問題などの解消に向けて「イーサリアム2.0」の開発を進めている。合わせて、イーサリアム1.0の計画的なハードフォークも行なっており、4月15日にはコードネーム「Berlin」を実行していた。
次のハードフォークは、注目のEIP-1559が実装される「London」が7月に予定されている。
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【参照記事】Ethereum Average Gas Limit Chart
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