英国を拠点とする民間基準策定団体ICVCMは6月6日、コア・カーボン・プリンシパル(CCP)ラベルを付した炭素クレジットの創出手法を初めて承認した(*1)。これにより、承認された炭素クレジットは信頼性の高いCCPラベルを使用できるようになった。
CCPラベルは、各炭素クレジットが大気から削減または除去された1トンの排出量を表すことを保証する。
今回、ICVCMは7つの炭素クレジット創出手法を承認した。埋立地からメタンを回収し、オゾン層破壊物質(ODS)や冷媒ガスを削減することで、温室効果ガス(GHG)の削減に取り組むプロジェクトから創出される、推定2,700万件の炭素クレジットに信頼性の高いCCPラベルを使用できるようになった。
ICVCMでは現在、創出された50%以上に相当する27カテゴリーの炭素クレジットを審査中である。埋立ガス(推定7,600万以上の発行済みクレジットをカバー)とODS(推定400万以上の発行済みクレジットをカバー)に対応するその他の方法論も評価中だ。
REDD+(森林減少と森林劣化による排出の削減)、管轄REDD(JREDD)、クリーンな調理用ストーブなど、最も一般的な種類の炭素クレジットに関するマルチステークホルダー評価も進行中で、今後数か月で完了する予定である。
ICVCMのアネット・ナザレス議長は「CCPラベルは、バイヤーが我々の厳格な基準を満たした炭素クレジットを識別できるようにするためのものである。政府は、質の高いボランタリーカーボン市場(VCM)が、民間セクターの資金調達を拡大する上で、重要な役割を果たし得るとの認識を高めている」と述べた(*1)。
米バイデン政権は5月28日、VCMの信頼性向上に向けて新たな原則や施策を発表した際に、質の高い炭素クレジット市場を形成することで、炭素排出の削減に資するプロジェクトへ確実に資金を提供するとの考えを示していた。
ICVCMのtwo tickプロセスでは、炭素クレジット創出プログラムが 「CCP-Eligible(適格) 」として承認され、クレジットを生成するプロジェクトが 「CCP-Approved(承認) 」の方法論を使用している場合にのみ、CCPラベルを付けることができる。
ACR、Climate Action Reserve (CAR)、Gold Standard、Verra (VCS)は、すべてCCP-Eligibleとして承認されている。今後は、ICVCMが承認した方法論に基づいて発行されたプロジェクトによって生成された炭素クレジットにのみ、CCPラベルを使用することができる。
CCPで承認された炭素クレジットのステータスは今後、各プログラムのレジストリで確認できるようになる。取引所のようなマーケットプレイスは、年内にCCPラベル付きクレジットをバンドルし、買い手に販売をはじめる見込みである。
マイケル・ブルームバーグ国連気候変動担当特使、マーク・カーニー国連気候変動対策・ファイナンス担当事務総長特使、メアリー・シャピロ気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)事務局長は「ICVCMの基準とラベリングを活用すべきであり、すでにいくつかの国が支持を検討している」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 ICVCM「Integrity Council announces first high-integrity CCP-labelled carbon credits, as assessments continue」
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