米マイクロソフトは6月2日、社会課題に対処し、コミュニティにベネフィットをもたらすデジタルインフラの構築・運営を約束する「Datacenter Community Pledge(データセンター・コミュニティ誓約)」を発表した(*1)。
わずか1年の間に人工知能(AI)の導入が目覚ましく加速している。同誓約は、マイクロソフトがAI導入を原動力に、高度なデータセンターのグローバルネットワークを構築・運営する中で生まれた。
同社は、各データセンターの計画、設計、建設、運営において、地元のサプライヤー、役人、住民といったステークホルダーの巨大なネットワークに依存していることを認識している。
コミュニティに対して、責任ある隣人であることを約束し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しながら、コミュニティとエコシステムに積極的に貢献する義務があると見ている。
新しい誓約は「持続可能な未来への貢献」「廃棄物ゼロの達成」「コミュニティの繁栄と福祉の促進」の3つの主要分野に重点を置く。
持続可能な未来への貢献では、2030年までにカーボン・ネガティブ、ウォーター・ポジティブ、廃棄物ゼロを実現するデータセンターの設計・運営を約束する。
25年までに、世界的に再生可能エネルギー100%で電力を調達し、地域の電力網を大幅に拡大するとともに脱炭素化も図る。同社のデータセンターは、従来のエンタープライズ・データセンターよりも水利用効率が高い。30年までの計画では、現地で消費する水量を上回る水を補充する(水源保護、replenish)見通しである。
廃棄物ゼロの達成については、2020年にアムステルダムで、データセンター内のサーバーやハードウェアを再利用・再目的化するために設計された、この種のものとしては初のマイクロソフト・サーキュラー・センターを導入した。それ以来、主要な場所に10以上のサーキュラーセンターを建設し、廃棄物を埋立地に持ち込まないようにしている。
コミュニティの繁栄と福祉の促進では、事業展開する各コミュニティにおいて、経済的、社会的、環境的に大きなベネフィットをもたらす。
地元の政府、企業、学校、非営利団体と提携し、高賃金の雇用や実習の機会を創出するとともに、大人や子どもたちに必要不可欠なデジタルスキルのトレーニングやSTEM(科学・技術・工学・数学)教育を提供している。
コミュニティの持続可能性を高める取り組みにも投資している。繊細な水の回廊の復元、樹木の保護、自生植物の成長促進、生息地の保護といったプロジェクトに投資する。
マイクロソフトがデータセンターを運営することで、公共インフラの改善と税収を生み出し、コミュニティの生活の質を向上させる触媒として機能する。その結果、家族が集える公園や子どもたちの教育を向上させる設備の整った学校、整備された道路やデジタルインフラといった新たな社会サービスの向上につなげる。
良き隣人として責任ある経営では、コミュニティと密接に協力し、地域の環境を尊重した方法で事業を展開することを約束する。
環境とコミュニティを念頭にデータセンターを設計し、持続可能な開発手法や建材から騒音や光の低減対策に至るまで、拠点となるコミュニティと協力し、支援する方針だ。
【参照記事】*1 マイクロソフト「Microsoft’s Datacenter Community Pledge: To build and operate digital infrastructure that addresses societal challenges and creates benefits for communities」
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