IBMとRippleとSWIFT、国際送金におけるソリューション市場の競争激化

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経済学者のCarlo De Meijer氏は4月15日、国際決済のソリューション市場に名乗りを挙げたIBMが今後SWIFTやRipple社の競合になりうる、という内容のレポートを金融テクノロジー情報誌Finextraに投稿した。IBMは3月18日に金融機関向けの国際送金ネットワーク「IBM Blockchain World Wire(以下:World Wire)」を本格始動している。レポートでは、IBMの開始したWorld Wireを説明した上でSWIFTとの違いやRippleとの違いについて説明している。

レポートによると、IBMのWorld Wireネットワークは、50カ国近くの通貨と45の銀行に対応し、70カ国以上の国々での即時の国際決済をサポートする。World Wireは、クロスボーダー決済、外国為替、国際送金を迅速で簡単に利用可能なように設計されている。また、World Wireは、Stellarのブロックチェーンネットワーク上で開発されていることも特徴だ。

World Wireのプラットフォームでは、仮想通貨を決済手段として選択する際には、どんな種類の仮想通貨も使用することが可能だ。World Wireの顧客となる6つの銀行では、仮想通貨の不安定さを理由として延期をしているものの、今後IBMのブロックチェーン上に銀行独自のステーブルコインを発行すると発表している。金融機関の既存の支払いシステムとWorld WireのAPIはシームレスにつながっているため、金融機関は新規にシステムを導入するなどのコストを必要としない。

現在国際送金プラットフォームのスタンダードであるSWIFTは50年間以上利用されるインフラだ。近年、このSWIFTが抱える国際送金の課題を解決する新たな技術として有名なのは、分散型台帳技術を利用したRippleNetだ。World WireとRippleNetの違いは、対応している利用領域や決済通貨の種類、ガバナンス、中核理念と事業戦略が挙げられる。ターゲット市場は、World Wireは送金市場に留まるのに対し、RippleNetはより広範な支払い基盤をカバーすることを目的としている。決済通貨は、World Wireは多種な仮想通貨に対応する一方、RippleNetではXRPのみがネイティブトークンとして扱われる。ガバナンスの面にも大きな違いがある。World WireはIBMが主体となるが、RippleNetではネットワークに参加する複数のバリデーターに分散されている。

4月3日に設立されたブロックチェーン技術の国際基準策定機関INATBAでは、IBM、SWIFT、Rippleの3社が揃って参加している。国際送金におけるソリューション競争により、コスト・質の高いサービス提供がなされることに期待したい。

【参照記事】IBM Blockchain World Wire: growing competition in payments
【関連記事】IBM、ブロックチェーン利用の国際送金ネットワーク本格始動。72か国に対応

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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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