イベルドローラ、ぶどう園でソーラーシェアリング実証開始。スペイン初

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スペイン電力大手イベルドローラ(ティッカーシンボル:IBE)は9月29日、スペイン醸造ゴンサレス・ビアス及びグルーポ・エンペラドールがスペイン・トレドに保有する葡萄園で、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電、#1)の実証プロジェクト「ワイン・ソーラー」を開始したと発表した(*1)。スペイン初となる。

同プロジェクトはイベルドローラのスタートアップ企業支援プログラム「PERESEO(#2)」の一環となる。伊ITシステム開発Techedgeとソーラーパネル製造スペインPVHとも協働する。

ぶどう園にトラッカー(太陽光発電システムが太陽を追従するための装置)を設置し、人工知能(AI)を活用することで、随時太陽光パネルの最適な設置場所を把握する。また、ぶどう園に設置したセンサーから収集した情報をもとにパネルの傾斜角度を決める。センサーは日射量、土壌の湿度、風況、ぶどうの木の幹の太さなどのデータを記録する。

これらのテクノロジーを活用することで、ぶどうの品質向上、土地の有効活用、かんがい用水の使用量の削減、作物の気候レジリエンス(強じん性、回復力)を高められる見込みだ。実証農場(容量40キロワット(kW))で作られた電気は全て、ゴンサレス・ビアス及びグルーポ・エンペラドールの醸造所で自家消費し、排出量とエネルギーコストの削減につなげる。

イベルドローラは今後1年間かけてプロジェクトの成果をモニタリングし、スペインの他のぶどう園で同様の取り組みを行う方針だ。

イベルドローラは脱炭素化に向けた多岐にわたる取り組みを推進している。英石油大手BP(BP)とは、スペイン、ポルトガル、英国での電気自動車(EV)急速充電インフラの大幅拡充と、大規模なグリーン水素製造ハブの構築に向けて協業する(*2)。英国最大級のコンテナ港であるフェリクストウ港では、1.7億ユーロ(約230億円)を投じて大規模グリーン水素プラントを建設する(*3)。

(#1)ソーラーシェアリング…太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組み。

(#2)PERSEO…電力業界におけるサステナビリティに特化したスタートアップ企業への投資、戦略的提携、パイロットプログラムの推進などを通じ、革新的なテクノロジーやビジネスモデルを構築するスタートアップ企業を支援するイベルドローラのプログラム。

【参照記事】*1 イベルドローラ「Iberdrola starts up Spain’s first smart agrovoltaic plant in Toledo
【関連記事】*2 BPとイベルドローラ EV急速充電インフラとグリーン水素製造で協業
【関連記事】*3 イベルドローラ、英最大級コンテナ港でグリーン水素プラント建設へ。生産能力1.4万トンで26年稼働予定

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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