洋服選びもサステナブルを意識。博報堂が「生活者のサステナブル購買行動調査2021」

※ このページには広告・PRが含まれています

企業活動や投資市場で普及するSDGs(持続可能な開発目標)が、消費者にも広がりつつある。株式会社博報堂が8月27日公表した「生活者のサステナブル購買行動調査2021」では、SDGsの認知度は前回(2019年)より若年層を中心に上昇、さらに社会問題や環境問題に危機感を感じている生活者や、社会をより良くする活動・社会問題に関する情報発信などに積極的な若年層の姿が浮かんだ。

調査は、SDGs の視点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクト「博報堂SDGs プロジェクト」が企画。SDGs に関する経験と専門性を持つ社員で編成し、次世代の経営のテーマとなる、企業の経済インパクトと社会的インパクトの統合に資するソリューション開発や経営支援、事業開発支援、マーケティング支援などを行うプロジェクトだ。期間は今年1 月4日~7日に実施、今回は購買行動に関する項目に加え、生活者が普段の生活の中で社会・環境をどの程度意識し、どのような行動に取り組んでいるかについて訊いた。まず、SDGsの認知について「内容を知っている」と回答した人は28.8%で、2年間で約20ポイント増加した。「名前を聞いたことがある」人は半数以上になり、年代別でみると10代(16~19歳)では認知率47.5%、知名率69.9%、20代では認知率37.4%、知名率63.3%となり、学校教育などにより若い世代を中心にSDGsの認知・理解が進んでいた。

購買行動については、前回調査から全体の傾向に大きな変化はみられないが、「物を買うときには必要最小限の量だけを買う」が4.3pt、「新品を買わずに借りたりシェアしたりする」が2.5pt上昇。コロナ禍で在宅時間が増え、物を減らしたいと考える人が増加していることも影響しているようだ。

性別、年代別でみると「不要になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする」では女性が10~30代で7 割以上、「新品を買わずに中古品を買う」では男性10~20代で約5割、「新品を買わずに借りたりシェアしたりする」は男女10~20 代で3~4割と、それぞれ全体の数値より10pt以上高くなっており、「サーキュラー」や「シェア」に関する行動の実施率は、若い世代ほど高めの傾向が見られた。さらに、「いますぐ社会問題や環境問題に取り組まなければ手遅れになると思う」と回答した人は65.9%でトップ。特に危機感を持っているのが女性50~60代で、7割以上が「そう思う」「ややそう思う」と答えた。

サステナビリティを意識したファッション・アパレル商品の購買意識について聞いたところ、購買実態、今後の購買意向ともに、「きちんとていねいにつくられたものを買う」(実態70.5%、意向85.8%)が最も多かった。購買意向と購買実態の差を見ると「マイクロプラスチックが出ない素材」で39.0ptの差。「生産者の生活や人権に配慮したもの」(差分35.0pt)、「フェアトレードなどの認証を受けているもの」(34.2pt)、「生産・製造過程で環境に与える影響を考えて買う」(34.1pt)、「環境・社会問題に積極的に取り組むブランドを買う」(34.0pt)などとなり、ファッションにおいても環境や社会、生産者の人権に配慮した商品に対する潜在ニーズが見られた。

SDGsは購買以外の行動にも波及する。男性10~30代、女性10代などの若い層では「社会問題に積極的に取り組む企業に就職・転職する(したい)」「社会活動に取り組むサークルやコミュニティなどに参加する」「社会活動に取り組むイベントに参加する」が他の年代よりも高く、SDGsの知名・認知率が高い若年層は、社会活動への参加意識も高いことがうかがえる。

社会問題について「テレビ・新聞・雑誌・書籍などを通じて知る・学ぶ」と答えた人は約6割でトップ。「社会問題について家族や身近な人たちと話し合う」「社会問題について詳しい内容や他の人の意見をインターネットで調べる」が約4割で続いた。性別、年代別では男性10~20 代や女性10 代が全体的に高めで、特に「社会問題を取り上げた記事・投稿をSNS などで共有する」「社会問題について自分から情報発信する」といった自発的な情報発信行動や「政府や自治体などへの働きかけを行う」「署名・デモなどに参加する」「クラウドファンディングで参加する」などの項目が全体よりも10pt 以上高くなった。

社会問題や環境問題には市民ひとりひとりが解決に取り組むべき」という回答は64.4%と、「国や自治体が取り組むべき」(62.4%)、「企業が取り組むべき」(58.5%)を上回り、国や自治体、企業だけでなく、自らも取り組むべき課題であるととらえている人が多い。一方、52.8%が「社会問題や環境問題に対して自分は何をすればよいかが分からない」と回答。特に女性が高めの傾向が見られた。

【参照記事】博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2021」レポート

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 ESG・インパクト投資チームは、ESGやインパクト投資に関する最新の動向や先進的な事例、海外のニュース、より良い社会をつくる新しい投資の哲学や考え方などを発信しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」