今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の鈴木雄大 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。
目次
1. 昨今のNFTトレンド
ジェネレーティブNFTの前にNFTの昨今のトレンドを見てみましょう。これは8月下旬のある日のOpenSeaでの取引高別ランキングです。
CryptoPunksや、線画のアートArt Blocks、鬼から命名されていると思しきON1、Youtuberのローガン・ポール氏が購入したことでも話題になったBored Apeなど複数のジャンルが並びます。
このTop5の特徴を当てられるでしょうか。実はParallel Alphaを除く4つのシリーズは全てジェネレーティブNFTと呼ばれる新しいNFT発行方法によって発行、販売をされたものだということです。本日はこのジェネレーティブNFTについて、その仕組や性質を見ていきましょう。
2. ジェネレーティブNFTとは?
ジェネレーティブNFTとは、特定の条件下に自動作成され販売されるNFTを指します。NFTは、一般的に販売前に事前にミントとも呼ばれる発行を行っておきます。その為、通常は001、002、003といくつ作るか、そしてどのトークンID(番号)にどんな画像を指定するかを事前に決めて発行しておくことができます。
しかしジェネレーティブNFTでは、ユーザーが購入を行うウェブサイトなどを介して直接スマートコントラクトを操作し、その瞬間にスマートコントラクト経由でランダムに特定の画像が紐付いたNFTが生成されます。
この方法では、事前に並んでいるNFT商品一覧を見ることはできない為どのような絵柄が出るのだろうといった楽しみや、掛け合わせにより1,000や10,000パターンを作成し、一気に販売を行うことが可能になります。
また事前にどのパーツがレアリティが高いかを設定しておくことで、例えば1/1,000しか発生しない王冠を被ったキャラクターが登場することができるなど、特定の絵柄をレアリティに応じて発生させられます。
このような手法の発展型として、フルオンチェーンとも言われる全てブロックチェーン上で絵柄までランダムに決まる手法もあり、例えば人気マーケットプレイスであるArtBlocksで行われているジェネレーティブNFTアートは、購入の瞬間にスマートコントラクトが事前に設定された数式に沿って数学的に線や図を生成します。これにより、その瞬間に発生したランダムな図柄がそのままユーザーの手元ウォレットに入るということが可能になっています。
こうしたNFTを取得する際には、アートそのものを見ることなく購入せざるをえないので、手元のウォレットに届いてから初めて自分のNFTアートの絵柄を知るという楽しさがあります。
アルゴリズムを介してランダムに画像を生成するという、以前からもあった手法がNFTとして作品そのものに価値がつくようになり、より世に広まってきている印象を持ちます。
現状こうした全てをブロックチェーン上で生成する構図そのものが、アートであるとみなされており、記事執筆時点ではとても人気のNFT作品群と見なされています。
3. 実際のジェネレーティブNFTを見てみる
ArtBlocksの中でも大きな注目をされた作品を2つご紹介します。
1つ目はRingersというシリーズです。
この#879という番号の作品は、最も価値のあるArtBlocksのNFT作品の一つでもあり、現在こちらの作品は暗号資産投資企業であるThree Arrows Capitalが6億円を超える価格で購入を行い、彼らのコレクションとして保管されています。
2つ目は720minutesというシリーズです。
720 Minutesは渋谷駅前のモディ渋谷で投影されるなど、日本でも多くの人にアピールを行ったことでも新しい、MacTuitui氏によるコレクションでこのNFTもArtBlocksで発行された作品です。
まとめ
NFTの世界では明らかにこうしたジェネレーティブNFTが普及し出しています。特にフルオンチェーンでスマートコントラクトを介して、画像が自動生成されるものについては、特に人気が高く、こうしたアートNFTの生成方法が芸術的であるとの評価によるものではないかと考えられます。
このようにNFTは既にIPとの掛け合わせだけではなく、新しいアートそのものをランダム生成する所まで進んでおり、さらなるNFTの進化を感じさせる展開となっているのではないでしょうか。
ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。
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