炭素除去スタートアップのグラファイト(Graphyte)は7月30日、シリーズA(資金調達ラウンド)で3,000万ドル(約44億9,000万円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に低コストの炭素除去ソリューションの展開を加速し、2030年までに年間500万t-CO2超の除去を目指す。
今回の投資ラウンドは、プレリュード・ベンチャーズとカーボン・ダイレクト・キャピタルが共同で主導し、既存投資家のブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ(BEV)とオーバーチュアも参加した。
プレリュードのマネージング・ディレクターであるマット・エガーズ氏は「炭素除去は気候変動にインパクトを与えるために、可能な限り迅速にスケールアップする必要があり、買い手は高性能でMRV(測定・報告・検証)を確実に行えるソリューションを求めている。グラファイトのソリューションは、大規模で耐久性のある炭素除去を迅速に展開する上で、最も有望なものの1つである」と述べた(*1)。
グラファイトの炭素除去技術であるCarbon Castingは、光合成によってCO2を取り込んだ木の皮、籾殻、植物の茎など、農業や林業から出る副産物を再利用したプロセスを採用する。
炭素を含む廃棄物系バイオマスを地下に封じ込め、他の人工的な炭素除去ソリューションのようなエネルギーの大量消費を避ける。同社はすでにアーカンソー州のロブロリー・プロジェクトの操業を開始しており、25年初頭には年間5万t-CO2のCO2除去能力を達成する見込みだ。
今回の資金調達により、グラファイトの技術展開を加速し、25年から26年にかけてさらに4つのCO2除去施設を立ち上げ、30年までに年間500万t-CO2を除去することが可能になる。
BEVのカーマイケル・ロバーツ氏は「世界のCO2排出量が増加し続ける中、気候変動による最悪の影響を緩和するためには、炭素除去が不可欠であることは否定できない。Carbon Castingは、自然をベースとしたアプローチによる低コストと、エンジニアリングによる永続的なインパクトを組み合わせたプロセスとなる」と述べた(*1)。
グラファイトのバークレイ・ロジャース最高経営責任者(CEO)は「弊社は独自のCarbon Castingプロセスを採用し、耐久性のある炭素除去技術による世界最大のサプライヤーになることを目指す」と強気の姿勢を示した(*1)。
【参照記事】*1 グラファイト「Graphyte Secures $30MM Series A Funding Co-Led By Prelude Ventures and Carbon Direct Capital」
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