サステナビリティの専門家の過半数は、人工知能(AI)がサステナビリティの進展にネット・ポジティブ・インパクトをもたらすと見ていることが、米セールスフォースの最新調査で明らかになった(*1)。
国際エネルギー機関(IEA)によると、AIデータセンターの電力使用量は、2026年までに倍増する見通しである(*2)。その結果、世界中のサステナビリティチームは、環境を害することなく、画期的なテクノロジーを企業が導入できるようにするにはどうすれば良いかという課題に取り組んでいる。
そのような中、セールスフォースと英調査会社ユーガブと共同で行った今回の調査は、米国、カナダ、英国の様々な業種に属する企業のサステナビリティの専門家452人以上を対象とする。
幸いなことに、AIがサプライチェーン管理やESG(環境・社会・ガバナンス)報告を支援し、気候危機に取り組む企業をさらに支援できることを示す証拠がある。セールスフォースの最新調査でも、企業がすでにAIのメリットとデメリットのバランスをとるアクションを起こしていることを示唆している。
同調査によると、サステナビリティの専門家の6割超が、AIのベネフィットと環境コストのバランスを取る必要があると回答した。回答者の55%は、AIがサステナビリティの進展にネット・ポジティブ・インパクトをもたらすと見ている。
AIがサステナビリティプログラムを変革し始めている。すでにAIを使用している企業の65%が、AIはサステナビリティプログラムを変革したと回答した。
サステナビリティの専門家の半数近くが、AIの使用や実験を行っている。調査回答者の20%はすでにプログラムにAIを導入済みであり、29%はAIを用いた実験を継続中であると回答した。
サステナビリティチームによるAIを用いる分野の上位には、エネルギー効率の改善(50%)、炭素排出量のモデル化(48%)、環境基準や規制遵守(47%)などが挙げられる。
サステナビリティ・リーダーの81%は、AIの排出量フットプリントの削減を優先課題とした。
さらに、サステナビリティの専門家がAIを導入する際に直面する課題についても調査しており、AIの活用方法に関する知識不足が37%でトップ、次いで予算不足およびセキュリティとプライバシーに関する懸念が34%となる。
チームがサステナビリティ目標を達成するのに役立つ要因の第1位は知識・スキルの向上(52%)、第2位はトレーニング(45%)であった。
セールスフォースのチーフ・インパクト・オフィサー(CIO)を務めるスザンヌ・ディビアンカ氏は、地球を含む全てのステークホルダーがAIのベネフィットを享受するために企業が取り組めることを挙げている。
例えば、企業はエネルギー消費の最適化やサプライチェーン効率の改善など、環境への影響を低減するソリューションを開発できる。サステナビリティ関連指標や進捗状況を公開することで透明性を促進することも可能である。サステナビリティを事業の中核に据え、他の事業部門と同様にリソースを配分することなども提言している。
【参照記事】*1 セールスフォース「Does AI Have a Sustainability Dilemma? New Research Shows Optimism Despite AI Energy Demands」
【参照記事】*2 IEA「Electricity 2024 – Analysis and forecast to 2026」
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