米アルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)傘下のグーグルは8月2日、アジアパシフィック(APAC)地域で、人工知能(AI)スタートアップの女性起業家支援に特化したファンドを立ち上げたと発表した(*1)。まずは日本、韓国、インドで始めた後、APAC地域の他国でも展開する計画だ。
同ファンドは「Google for Startups Women Founders Fund」と呼ばれ、2023年には女性起業家6人に10万ドル(約1,400万円)の資金を提供する。投資をきっかけに、スタートアップ各社がベンチャーキャピタル(VC)への事業の認知度を高めることで、追加の出資も期待する。
これまでに400人の起業家が、グーグルのスタートアップを対象にした他のファンドのサポートを受けた後、VCより4億ドル超の資金を調達している。
同ファンドは20年に立ち上げた「Google for Startups Founders Funds」プログラムの一環となる。Founders Fundsシリーズでは、低代表、過小評価された(underrepresented)をサポートし、全ての起業家に公平な競争環境の確保を図る。
Founders Fundsシリーズの中には、アフリカ、ブラジル、欧州、米国で黒人起業家を、米国でラテン系起業家を支援するファンドなどがある。
今回立ち上げた「Google for Startups Women Founders Fund」では、各業界で注目のAI分野のスタートアップに焦点を当てる。AI技術が急速に加速する中、グーグルは低代表、過小評価されたマイノリティや女性を取り残さないようにすることが重要だと見ている。
グーグルは、これまでにもアジアで女性起業家が率いるAIスタートアップを支援してきた。例えば、韓国・ソウルを拠点とするAI For Petは、僅か3年前に立ちあげられたばかりのスタートアップだ。
AI For PetはスマホカメラとAIアルゴリズムを活用し、猫・犬の目や皮膚の病気を検知することができるスマホアプリを運営する。同社は、フォーブス誌がAPAC地域の注目中小・新興企業を選出する「Forbes Asia 100 to Watch」にも選出された。
その他にも、日本のラトナはAIを搭載したハードウェア、ソフトウェアを提供し、製造業や小売業、接客業などのワークプロセスの自動化・デジタル化を支援している。
共同創業者兼最高経営責任者(CEO)の大田和響子氏は、20年のGoogle for Startupsの女性起業家向けメンターシッププログラムに参加し、機械学習プラットフォームTensorFlowなどのグーグル製品の研修、専門家による助言、ネットワーキング機会の提供を受けた。
グーグルはスタートアップの成長を後押しすることで、女性起業家に公平な競争環境の提供を目指すと共に、市場全体の規模を拡大させ、TensorFlowやグーグルクラウドなどグーグル製品の利用拡大につなげる狙いがある。
【参照記事】*1 グーグル「A new fund for women creating AI startups in Asia Pacific」
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