世界中のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)を取り締まる国際組織である金融活動作業部会(FATF)が、暗号資産におけるFATF勧告がどの程度浸透しているかについての調査レポートを6月25日に公開した。
2019年時点で施行されていたFATF勧告に関して、世界128カ国で調査が行われた。そのうち、FATFからの勧告を遵守できていると評価されたのは58カ国にとどまる結果となっている。
58カ国の中で、52カ国が暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対する規制を整備しており、6カ国で規制が未整備の状況になるという。
今回のレポートでは、日本について言及する箇所が複数見かけられた。日本のAML/CFTについて個別に調査を行なったと報告しており、一定の成果をあげている国の一つだと結論づけている。
一方で、「日本は金融機関および特定の非金融事業における、監督や予防措置、AML/CFTの調査など、特定の分野における取り組みを優先する必要がある」ともコメントした。
FATFは、2021年2月にガイダンスの一部を修正する形でDeFiやステーブルコインに関する規制の可能性について触れている。その際に、既に各国に対して勧告していたトラベルルールの実行を促すとともに、公的部門および民間団体がトラベルルールに対応するための具体的な方法も明示していた。
FATFはいずれの国からも影響を受けない国際組織であり、FATF勧告は事実上の絶対的な効力を有している。暗号資産に関するFATF勧告としては、トラベルルールが最も重要なものとして議論されてきた。
今回のレポートが公表された同日、米国の主要なカストディ企業によるトラベルルールへの対応ソリューションが構築されたとの発表が出されている。米国トラベルルールワーキンググループ(USTRWG)と呼ばれるこの団体は、BitGo、Coinbase、Gemini、Kraken、Fidelityによって構成されるという。
【参照記事】Documents – Financial Action Task Force
株式会社techtec リサーチチーム
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