環境省は7月22日、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指すことを表明した地方自治体数が102になったと発表した。表明自治体の人口を国勢調査ベースで合計すると約6465万人、GDP(国内総生産)は約314兆円となり、日本の総人口の50.9%に達している。6月25日時点の表明自治体数は101(18都道府県、48市、1特別区、25町、9村)、人口約6386万人、GDPは約311兆円。
「地球温暖化対策の推進に関する法律」(1998年10月9日公布)では、都道府県および市町村は、その区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制などのための総合的かつ計画的な施策を策定、および実施するように努めるとされている。これを踏まえ、脱炭素社会に向けて2050年二酸化炭素排出実質ゼロに取り組むことを表明した地方公共団体(ゼロカーボンシティ)が2019年以降、増えつつある。排出実質ゼロとは、CO2などの温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、森林などの吸収源による除去量との間の均衡を達成すること。
都道府県では北海道、岩手県、宮城県、富山県、福井県、群馬県、長野県、東京都、神奈川県、山梨県、三重県、京都府、滋賀県、大阪府、鳥取県、徳島県、愛媛県、熊本県、大分県が表明している。直近1ヶ月以内で表明したのは東京都多摩市(6月25日)、福井県(7月13日)。多摩市は市気候非常事態宣言の中で2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すことを多摩市長と多摩市議会議長が共同で表明。地球温暖化に伴う様々な課題に対応していくため「地球温暖化対策担当課長」を設置するのをはじめ、次期みどりと環境基本計画へ「二酸化炭素排出実質ゼロ」の目標を記載、地球温暖化対策実行計画「区域施策編」の策定、庁舎などの再生可能エネルギー導入の検討などの施策を打ち出した。福井県は長期ビジョン(2020年7月策定)で「2050年の二酸化炭素排出実質ゼロ」を掲げ、同月22日の定例記者会見で県内初の商用水素ステーションの整備に併せて、知事が発表。県民や事業者の自主的な省エネ行動を促すとともに、省エネ性能の高い住宅や水素ステーションの整備などによる次世代自動車の普及、中小企業の省エネ対策への支援など、企業における地球温暖化対策強化、小水力発電や風力発電など地域資源を活かした再生可能エネルギーの導入拡大などにより50年の二酸化炭素排出実質ゼロを目指す。
表明方法は①定例記者会見やイベントなどで「2050年温室効果ガス(二酸化炭素)実質排出ゼロ」を目指すことを首長が表明、②議会で首長が表明、③報道機関へのプレスリリースで首長が表明、④各地方自治体ホームページで表明の4種類がある。
【参照記事】地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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