イーサリアム創設者Vitalik氏、分散性とスケーラビリティの両立を解説

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イーサリアムの共同創設者Vitalik Buterin氏は12月6日、自身のウェブサイト上で「Endgame」というタイトルの記事を公開した。イーサリアムのような「大きなブロックチェーン」がどのように十分な分散性とスケーラビリティの両立を維持するのかについて説明している。

通常1秒間に何千件もの取引が行われるような規模の大きいブロックチェーンでは、ブロックサイズが非常に大きいため、ブロックを作成したり既存のチェーンを検証したりできる完全型のノードを稼働させることができるのは、数十から数百のノードだけとなる。

そして、稼働可能な数十から数百のノードに取引が集中すると、それらのノードが不正行為を引き起こす可能性があるのだ。つまり、規模の大きいブロックチェーンでは、分散性とスケーラビリティはトレードオフの関係にあると言える。

今回の記事で、Vitalik氏はこのトレードオフの解決策を示した。具体的には、以下の2つをはじめとするいくつかの方法を提示している。

1つ目が、分散的にブロック検証を行うために、必要とするリソースが少ないセカンドレイヤーで行うステーキングだ。中央集権的に一部の完全型ノードが第一段階の検証を行った後、セカンドレイヤーに存在する多くの軽量ノードが再度検証を行うことで、ノードの集中化を防ぐことができるという。

2つ目は、ブロックの有効性を直接かつ安価に証明するための仕組みとして、zk-SNARKsの導入だ。zk-SNARKsとはブロックの有効性を証明する方法の一種であり、セカンドレイヤー技術や匿名性の高いブロックチェーンを構築する際に活用される。

Vitalik氏はこれらの仕組みを導入することで、ブロック生成は中央集権的に行われるものの、ブロック検証は高度に分散化された状態で行うことができると説明。ブロック生成者の不正行為を防ぐための仕組みが実装されたブロックチェーンを構築することが可能だと言及している。

また同記事でVitalik氏は、イーサリアムのメインチェーン外で取引を実行することでスケーラビリティ問題の解決を図る「ロールアップ」についても言及した。Vitalik氏は、ロールアップを導入したとしてもブロック生成は中央集権的に行われるとし、ロールアップを組み込んだ状態でイーサリアムを完全に分散化することは難しいと説明している。

他にも、マイナーの活動により生じるMEVの問題からイーサリアムの分散性が不足する問題についても指摘し、これについての対策案も提示した。MEVとは、Miner Extractable Valueの略称で、標準的なブロック報酬やガス代を超えてマイナーがブロック生成から得られる価値の最大値を表す。

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【参照記事】​​Endgame

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株式会社techtec リサーチチーム

「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec