米商品先物取引委員会の元委員長が「デジタルドルプロジェクト」をアクセンチュアと立ち上げた理由とは?

今年1月、商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長であるJ. クリストファー・ジャンカルロ氏はアクセンチュアと協力し、「米中央銀行デジタル通貨」を検討する「デジタルドルプロジェクト」を立ち上げた。ジャンカルロ氏はデジタルドルのミッションについて語った。4月26日、米国の経済誌フォーブスが伝えている。

デジタルドルプロジェクトの目的は「米中央銀行デジタル通貨」の潜在的なメリットに関する研究や議論を促し、民間の有識者とともに公共機関の支援につながるモデルを提案することだ。3月27日付のアクセンチュアのリリースによると、当プロジェクトはデジタルドルの提供価値や導入の実現可能性を実証・把握するためのフレームワークを構築する。「クリプトダッド」の異名を取ったジャンカルロ氏は、CFTC委員長として最初のビットコイン先物商品を承認した。同氏は今、デジタルドル財団を設立してデジタルドルプロジェクトをけん引している。

「米中央銀行デジタル通貨」は連邦準備制度の紙幣と同様に負債として扱われる。ジャンカルロ氏がフォーブスに語ったところによると、デジタルドルは中央銀行と民間銀行との「二層構造」を通じて配布され、デジタル形式で携帯性に優れ、メールのように容易に送金できる仕組みを目指す。

デジタル化が進む21世紀においてアナログな準備通貨は時代遅れになりつつある。トークン化された米国のデジタル通貨として機能するデジタルドルにより、「個人や企業は場所や時間に関係なくドルでの支払いが可能になるほか、ドルの将来性がより一層担保される」とジャンカルロ氏はリリースで述べていた。

現在、中国のデジタル人民元は既に地方都市で実証実験段階に移行している。将来的に、デジタル人民元が世界の5Gインフラ網や一帯一路戦略に導入されることになれば、世界の銀行システムを迂回して決済を処理する可能性がある。「デジタル化されたシステムの分野で、ドルも役割を果たすべきではないか」とジャンカルロ氏はフォーブスに語った。

同氏によると、デジタルドルプロジェクトは中国との競争や連邦政府の利益のためだけではなく、「誰が未来を所有するか」という、より大きなビジョンを見据えている。宇宙計画やインターネット革命を始めとする「米国のリーダーシップの価値命題は、目的達成に向けて形成された官民連携から得られるメリットにある」とジャンカルロ氏は加えた。

デジタルドルプロジェクトは段階的に進められる計画だ。まずは米中央銀行デジタル通貨に関する構想の素案が作成され、経済学者や企業経営者、技術者、その他の専門家が検討する。フォーブスに対して、ジャンカルロ氏は米国が最初にデジタル通貨を導入する必要はないと語った。現在ドルは支配的な地位を占めており、「デジタル化を急いで獲得するものよりも、失うものの方が大きい」としている。

【参照記事】Why Chris Giancarlo Considers A Digital Dollar Mission Critical For The World

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高橋奈夕

高橋奈夕

国際基督教大学4年。NYに支社を置くブロックチェーン専門のベンチャーキャピタルで半年以上インターンとして勤める。バイリンガルを生かして海外の記事を翻訳し、よりよい情報を国内に広めることにコミットしている。