2020年末に報じられた米最大手暗号資産取引所Coinbaseが1月28日、株式公開(IPO)計画を正式に発表した。株式公開時に新株を発行せず既存株だけを売りに出す「ダイレクトリスティング」方式を採用するという。
Coinbaseは、2020年末時点で登録ユーザー数4,300万人、総資産額900億ドルを超える巨大取引所だ。評価額は8,000億円を超えることが予想され、暗号資産・ブロックチェーン業界としては過去最大の株式公開となるため注目を集めている。
2021年1月22日には、ナスダックプライベートマーケットで上場前の株式を売りに出す予定であることを株主に伝えていた。上場前に株式への流動性を持たせることで、証券会社を挟まずに機関投資家との関係を構築することができる。
提出された証券登録届出書は、証券取引委員会(SEC)による審査後に有効になる見込みだ。Coinbaseは今回の発表に際し次のようにコメントしている。
「今回の発表は、証券法の規則135に基づいています。有価証券の売り出しや買い付けの勧誘を意図するものではありません。我々は、1933年米国証券法の登録要件に基づいて有価証券の募集、勧誘、購入の申し出および販売を行います。」
暗号資産・ブロックチェーン業界の企業によるIPOがここまで出てこなかったのは、取り扱う商品の複雑さが原因としてあげられる。暗号資産にはまだまだ不明確な部分が多く、規制産業であることから当局もすんなりと首を縦に振ることはできない。
特に、取引所のような法定通貨と暗号資産の橋渡しをするような役割を持つ企業の場合、マネーロンダリングやテロ資金供与への対策が厳しく審査される。
なお、CoinbaseのIPOが承認された場合、現在取り扱っている暗号資産の一部が除外される可能性が高いと指摘されている。Coinbaseは暗号資産の取引所であるため、証券に該当する可能性が高いものについては取り扱えないということだろう。
【参照記事】Coinbase announces proposed direct listing | by Coinbase | Jan, 2021
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