米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は9月27日、同州で事業を展開する大企業に対し、全米初のバリューチェーン排出量の公開と気候関連の財務リスクの情報開示に関する改正法案に署名した(*1)。
同新法案が承認されたことを受け、カリフォルニア州で事業を行うほとんどの大企業に気候変動関連の報告義務を事実上導入することになる。
同法案SB219は、23年に知事によって承認されたSB253とSB261の修正が含まれる。
SB253「気候変動企業データ説明責任法」は、カリフォルニア州で事業を行う売上高10億ドル(約1,500億円)以上の企業に対する規制案である。直接排出(スコープ1、※1)、電力の購入と使用による排出(スコープ2、※2)、スコープ2以外の間接排出(スコープ3、※3)を含む、全てのスコープからの排出量を毎年報告することを義務づける。
SB261「温室効果ガス(GHG):気候関連の財務リスク」は、カリフォルニア州で事業を展開し、売上高が5億ドルを超える米国企業に適用される。26年1月1日以降、気候関連の財務リスクと、リスクを削減し適応するための対策を開示する報告書を隔年で作成することを義務づける。
ニューサム知事は23年10月に全米初の気候変動関連の情報開示法案となる両法案に署名したものの、「法案の実施期限は恐らく実現不可能だろう」と懸念を示し、法案作成者や立法府と協力して対処する意向を明らかにしていた。(*2)。
同知事はその後、情報開示の期限を延期し、28年に報告を開始することを提案したが、結局この変更は新法案には盛り込まれなかった。
しかしながら、新法案ではスコープ3排出量の報告時期に若干余裕を持たせる。27年に開始されることに変わりはないが、スコープ1および2の排出量開示後180日以内に報告することを義務づけるのではなく、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)が指定するスケジュールに従って報告することになる。
CARBが具体的な規則を定める時期を6か月間延期し、25年7月1日までとする。2026年の報告期限は維持する。
今回の改正法案では、気候変動関連の報告書の提出を、従来は法律の適用を受ける子会社が個別に報告書を提出する必要があったが、親会社レベルで統合することができるようになった。企業が情報開示を行う際に年間手数料を支払う必要もなくなる。
※1スコープ1…場所を問わず、報告主体が所有または直接管理する排出源に起因する全ての直接的なGHG排出量を意味し、燃料燃焼活動を含むが、これに限定されない。
※2スコープ2…場所に関係なく、 報告主体が購入または取得した消費電力、 蒸気、暖房、冷房による間接的なGHG排出量を意味する。
※スコープ3…スコープ2排出量以外の、報告主体が所有または直接管理していない排出源からの間接的な上流及び下流のGHG排出量を意味し、購入した商品やサービス、出張、従業員の通勤、販売した製品の加工及び使用を含むが、これらに限定されない。
【参照記事】*1 カリフォルニア州議会サイト「Greenhouse gases:climate corporate accountability: climate-related financial risk.」
【参照記事】*2 カリフォルニア州知事室「SB253 Signing」
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