日本銀行は2月19日、日本ワーキングペーパーシリーズとして「情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨」と題する論文を発表した。日本ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行の公式見解ではなく、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたものだ。内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを集めることを目的としている。
情報技術革新やキャッシュレス決済の世界的な拡大、仮想通貨の登場といった環境変化の下、「中央銀行も新しい情報技術を活用し、一般の人々が現金の代わりに使えるようなデジタル通貨CBDC(Central Bank Digital Currency)を発行してはどうか」といった議論が、世界的に注目を集めている。
論文によると、CBDCの発行は、支払決済の効率性への影響に加え、銀行による資金仲介や流動性危機などへの影響、金融政策の効果波及経路への影響など、さまざまな懸念点を孕んでいる。しかし、近年注目されるデジタル情報技術は、従来の支払い決済手段にとどまらず、支払決済に付随するさまざまな情報の媒介や取引の実行に使われていく可能性も考えられるとしている。また、中央銀行デジタル通貨や、さらに将来のマネーのあり方を考える上では、支払決済の効率性や金融構造への影響などに加え、経済社会における情報やデータの利活用のあり方や、支払決済インフラが持つ「ネットワーク外部性」などの観点からの考察が重要となるとしている。
CBDC議論の背景には、支払決済をデジタルにすることで脱税や犯罪、マネーロンダリングなどへの対策が容易になることがある。日本国内においてデジタル通貨発行に向けた動きは見られないが、ロシアをはじめ世界ではCBDCは今もなお検討中のものだ。中央銀行がデジタル通貨に対してどのようなスタンスを取っていくのか、注目していきたい。
【参照記事】情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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