暗号資産取引所「bitbank.cc」を運営するビットバンク代表取締役の廣末 氏は12月29日、2020年の暗号資産業界の概況と今後の展望について、コメントを発表している。
「bitbank.cc」においては、11月24日に1日あたりの現物出来高で550 億円(過去最高)を記録し、さらに12月17日には、2017年以来3年ぶりにビットコインの価格が史上最高値を更新するなど、前向きな動向が窺えたとしている。
同氏はまず2020年上半期について、まず大きなテーマとして新型コロナウイルスについて触れ、人々の移動が制限されたことでインターネットの接触機会が増え、暗号資産業界としてはプラスの作用があったとしている。インターネットの接触時間増大に加え、世界の中央銀行が経済への影響を緩和するために大幅な金融緩和を行ったこと、並びに政府が財政出動を行ったこともプラスに作用、これによって過剰流動性が発生し、株式をはじめとした資産価格の上昇につながったという。
同氏は、「中央銀行の法定通貨の増刷は、現時点で兆候はないものの、将来的なインフレの懸念を産むこととなり、結果、低金利による運用難に直面する機関投資家が、インフレヘッジの目的も含めて暗号資産に着目し、本格的なアセットクラスの一つとして認知し始め、そのマネーが市場に流入し始めた、という流れとなりました。」と述べている。
2020年下半期については、「後半の大きなニュースはペイパルが暗号資産での決済を可能にしたことでした。これが暗号資産=単なる投機の道具というイメージを覆し、決済用途に活用できる機能性から、その価値を引き上げる要因となりました。」としている。
また、コロナの感染状況が継続する中で、金融緩和や財政出動の流れは変わらず、機関投資家の資金は引き続き暗号資産に流入したことも挙げられた。「機関投資家は低金利により運用難に直面していたため、米国金融機関の参入は加速し、暗号資産は運用対象としての価値をさらに高めたと言えます。特に米上場企業のマイクロストラテジー社が4億2,500万ドル分のビットコインを購入したことは、インフレを懸念する投資家が増えていることを裏付ける象徴的な出来事となりました。」
廣末 氏はビットバンクの2021年の展望として、現物取引市場の強化を挙げている。その理由は、将来的に暗号資産が民間で発行・流通することになった際、取引所として媒介の役割を果たすためだという。
「このような領域では、現物市場の流動性無くして役目は果たせません。デリバティブは、金融的視点ではヘッジ目的としての価値がありますが、まだ我々が現物の暗号資産自体のユーティリティを示せていない現状でデリバティブだけが先行していると、単なる投機対象と捉えられても仕方ありません。暗号資産事業者が今やるべきことは、暗号資産を活用した有益な社会実装を提示すること、そのために必要な現物市場の流通環境を整備することだと考えています。したがって、ビットバンクは現物市場のシェアでNo.1を目指し、暗号資産の実需を高めるユースケースの創出に取り組んでまいります。」
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