Airbnb、AIスタートアップGamePlanner.AIを買収。旅コンシェルジェ提供により顧客体験向上につなげる狙いか

米民泊大手エアビーアンドビー(ティッカーシンボル:ABNB)は11月14日、人工知能(AI)スタートアップGamePlanner.AIを買収したと発表した(*1)。GamePlanner.AIが有するAIやデザインなどの専門性を活用し、旅行コンシェルジェ機能などの提供を通じて顧客体験の向上を目指す見通しだ。

GamePlanner.AIは2020年、アップルの音声アシスタントSiriの共同開発者であるアダム・チェイヤー氏が共同設立した12人のメンバーで構成されるAI企業だ。自社のサービスや製品を外部に公表しないまま事業を進めるタイプの会社を指すステルスモードのスタートアップでもある。

チェイヤー氏はスティーブ・ジョブズ氏と共に働き、SiriのサーバーサイドエンジニアリングとAIを主導した後、サムスンに買収されたViv Labs(現在はサムスンの音声アシスタントBixbyとして知られる)を共同設立した。チェイヤー氏のAI分野における豊富な経験や専門知識が、AIを活用した革新的なソリューションを生み出し、エアビーの旅行体験の向上に繋がることが期待される。

エアビーのブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は、GamePlanner.AIがAI、デザイン、コミュニティの専門知識を兼ね備えていると指摘する。また、チェスキー氏は生成AIが民泊プラットフォームを根本的に変え、旅行コンシェルジェとして機能すると見ている。これにより、ユーザーに最適な部屋や家をマッチングさせることが可能で、より一層旅行体験を向上させることができる。

エアビーは大規模言語モデル(LLM)、コンピュータビジョンモデル(画像内の物体を検出するように訓練されたソフトウェアプログラム)、機械学習など、同社のサービス全般にAIの活用を進めている。

最近では8日、サイトで掲載する宿泊物件の写真を整理するAIを導入した(*2)。これにより、ホストが物件情報を載せる際の手間を軽減することで、掲載情報の拡充を促し、利用者の新規獲得を目指す。

GamePlanner.AIの買収はエアビーにとって2019年以降初の買収となる。チェスキー氏はAIを活用した旅行コンシェルジェサービスの提供を試みる見通しであり、今回の買収はそのビジョンの実現に近づくことになりそうだ。

【参照記事】*1 エアビーアンドビー「Airbnb has acquired GamePlanner.AI
【参照記事】*2 エアビーアンドビー「Airbnb 2023 Winter Release: Introducing Guest Favorites, a collection of the 2 million most-loved homes on Airbnb

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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