アホールド、再エネBRUCとVPPA締結。太陽光発電で欧州事業の電力使用量の3割相当賄う

オランダの食品スーパー大手アホールド・デレーズは11月14日、スペインの再生可能エネルギー企業BRUCとVPPA(仮想電力購入契約)を締結したと発表した(*1)。太陽光発電プラントの開発を通じて年間46万メガワット時(MWh)の再エネを調達し、アホールドの欧州事業における電力使用量の約30%を賄う見通しである。

BRUCとの契約を通じ、アホールドはスペインのセビリアに5つの太陽光発電所を建設するための資金調達と建設を支援する。今回のプロジェクトは、アホールドの再エネプログラムにおける重要なステップであり、自社の事業全体(スコープ1および2)でネットゼロを達成するという2040年戦略の一環となる。

太陽光発電所の建設は年内に開始され、26年に発電が開始される予定である。今回のプロジェクトを通じ、電力網に年間515ギガワット時(GWh)の新たな太陽光発電容量が追加されることになり、これは13万2,000世帯の年間電力使用量に相当する。アホールドは同クラスターの発電容量の約90%を確保する契約を締結し、15年間にわたって再エネ証書(GO)を受け取る。

アホールド・ヨーロッパ・インドネシアの最高財務責任者(CFO)を務めるフランク・スルイス氏は「今回のVPPAの締結は、エネルギー効率の向上、再エネの自家発電、グリーンエネルギーの調達を目指す当社の再エネプログラムにおける重要な一歩だ。ヨーロッパのローカルブランドはすべて、気候変動に関する私たちの計画を達成するための明確な道筋を歩んでいる」と述べた(*1)。

アホールドがネットゼロへの取り組みを始めた当初、電力は同社の排出量の最大要因(スコープ1および2)であった。再エネプログラムにより、現在までに欧州事業における電力エネルギーによる排出量は3分の2に削減した。セビリアでのプロジェクトは、35年までに電力による排出量をゼロにするという、スコープ1および2のネットゼロ計画をさらに後押しするものである。

アホールドの再エネプログラムは、すべての地域でエネルギー効率化対策を実施した後、エネルギー使用量の削減に取り組んでいる。具体的にはヒートポンプ、新しい冷蔵システム、LED照明、熱回収、断熱の改善などを行っている。

さらに、店舗、配送センター、オフィスの屋根にソーラーパネルを設置するなど、可能な限り多くのグリーンエネルギーを自社で発電する。最後に、PPAを通じて、電力消費の残りをサステナブルな方法で調達する。

【参照記事】*1 アホールド「Ahold Delhaize signs Power Purchase Agreement as part of its European Renewable Energy Program

The following two tabs change content below.

フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
業務窓口
fortuna.rep2@gmail.com