マイクロソフト、3Degrees支援プロジェクトから8万トン超の炭素除去クレジット購入。生息地保護や地域社会支援効果も

米マイクロソフトは7月29日、気候変動ソリューションを提供する3Degreesがファシリテート(支援)する脱炭素プロジェクトBlue Creek Forest Projectから、8万トンを超える炭素除去クレジット(CDR)を購入すると発表した(*1)。

同プロジェクトは、非営利の自然保護団体Western Rivers Conservancy(WRC)が、カリフォルニア州北部のBlue Creekに47,097エーカー(約1.9億平方メートル)の土地を購入、管理する。

北米の森林の炭素蓄積量を増やすだけでなく、鮭(サケ)の生息地を保護し、先住民のユロック族への土地を返還するというベネフィットももたらす。WRCはクレジット売却に伴う収入を活用し、ユロック族の先祖伝来の土地を購入し、部族に寄付することができる。

現在、約15,000エーカーの土地はサケの生息地として保護している。Blue Creek下流全体を保護することで、クラマス川の冷水域に生息するサケやスチールヘッドを守り、クラマス水系を健全な状態で維持できるようにする。

さらに同プロジェクトは、マダラウミスズメ、北米アオバズク、カリフォルニアコンドル、フンボルトテンなど、絶滅の危機に瀕した希少動物の生息地も提供する。

今回のクレジット購入は、マイクロソフトの短期的な気候変動目標と、高い完全性基準を満たす炭素除去プロジェクト支援というコミットメントを後押しするものである。

3Degreesのビジネス・パートナーシップ担当アソシエイト・ディレクターを務めるジェニファー・コーン氏は「マイクロソフトによるBlue Creek Improved Forest Management Projectへの投資は、インパクトのある炭素除去へのコミットメントを強調するものだ。同プロジェクトは、重要な生息地を保護するだけでなく、持続可能な土地管理を通じて地域社会を支援するものである」と述べた(*1)。

3Degreesは、世界をリードする気候ソリューション・プロバイダーであり、B Corp(#1)でもある。世界の有力企業フォーチュン500に入るグローバル企業や公益企業などが気候変動目標を達成し、排出量に対処できるよう、クリーンエネルギーと脱炭素ソリューションを提供している。

同社のチームは、グローバルな環境商品、再生可能エネルギーの開発、サプライチェーンの脱炭素化など、スコープ1~3の排出に係る気候変動戦略および実施に専門性を有する。

3Degreesによると、同社は米国初の自主的なコミュニティソーラー(#2)プログラムの立ち上げを支援したほか、米国初の自主的な再エネ発電証書(REC)のオプション取引を行った。米国で最も早い時期に再生可能天然ガス(RNG)取引も実施している。

(#1)B Corp…社会や公益のための事業を行っている企業に発行される国際的な民間認証制度。

(#2)コミュニティソーラー…米国各州で設けられる分散型太陽光発電導入支援制度に基づき、主に民間事業者により設置・運営される太陽光発電設備。

【参照記事】*1 3Degrees「3Degrees Facilitates Over 80,000 Metric Ton Carbon Removal Purchase for Microsoft From Western Rivers Conservancy’s Blue Creek Forest Project

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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