米石油大手オキシデンタル・ペトロリアム傘下の炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)企業1PointFive社は1月11日、米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)と二酸化炭素除去(CDR)クレジット契約を締結した(*1)。空気中の二酸化炭素(CO2)を回収するダイレクト・エアー・キャプチャー(DAC)によるCDRクレジット供給に向けたコンサルティングサービスでも協働する。
同契約を通じ、1PointFiveはBCGに対し、DACにより3年間で21,000トンのCDRクレジットを供給する。またBCGは、DACによるCDRクレジット供給をサポートするビジネス・プロセスの開発など、コンサルティングサービスを通じて1PointFiveと協働する。
BCGへのCDRクレジット供給は、1PointFive初の商業規模のDAC施設として現在建設中のSTRATOSを通じて行われる。同施設は、フル稼働時に年間最大50万トンのCO2を回収するよう設計されており、DAC施設としては世界最大となる。
1PointFiveのマイケル・エイブリー社長兼ゼネラルマネージャーは「コンサルティング業界のグローバル・リーダーの1社であるBCGとの契約は、DACの可能性を強化し、一般企業がネットゼロ目標や持続可能性イニシアチブをどのように達成できるかを示すものだ」と述べた(*1)。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、パリ協定で設定された1.5度以下に地球の温暖化を抑えるためには、今世紀中に100〜1,000ギガトンのCO2を大気から除去する必要があるという(*2)。
そのような中、50年カーボンニュートラル達成に向けて注目を浴びている事業の1つが炭素回収・貯留(CCS)だ。IPCCや国際エネルギー機関(IEA)などは、以前からCCSを重要な選択肢と位置付けている。世界のCCSビジネスは拡大傾向にあり、1PointFiveを傘下に収めるオキシデンタルはCCSの中でもDACで業界をリードする。
23年8月には、米国エネルギー省クリーンエネルギー実証局(OCED)から、南テキサスDACハブ開発のための助成金を受けることが決まったと発表した(*3)。このハブにはSTRATOSが含まれている。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入拡大が進むものの、今後も石油や天然ガスなど化石燃料の利用も見込まれている。鉄鋼やセメントなど排出削減が難しい産業によるCCSへの関心も強まっている。50年に温室効果ガス(GHG)排出ゼロの実現に向け、1PointFiveのようなネガティブエミッション技術を有する企業への需要が今後も高まりそうだ。
【参照記事】*1 1PointFive「1PointFive and Boston Consulting Group Announce Strategic Agreement for Direct Air Capture Carbon Removal Credits」
【参照記事】*2 IPCC「Summary for Policymakers」
【参照記事】*3 1PointFive「1PointFive Selected for U.S. Department of Energy Grant to Develop South Texas Direct Air Capture Hub」
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