Ocean Protocolで用いられているData NFTとは?

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今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の伊山京助 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. Ocean Protocolとは?
  2. Data NFTとは?
  3. Ocean Marketについて
  4. MOBIと提携した事例について
  5. WISeKeyと提携した事例について
  6. まとめ

現代の人工知能はデータ数が多ければ多いほどより正確なモデルとなり、事業や研究において必要不可欠な技術となっています。GoogleやFacebookは世界の中で最もデータアセットを持つ企業の一つであり、これを活用して大きな収益を得ています。これに対し、AIを活用したスタートアップや個人は、データアセットの数に悩まされているか、あるいは技術面において大企業と比べて劣っているかという課題を抱えています。言いかえると、AIテクノロジーとデータアセットのどちらも少数の大企業が握っているという現状があります。

本記事では、この課題を解決するためにOcean Protocolで実装されているData NFTについてご紹介させていただきます。

Ocean Protocolとは?

Ocean Protocolは、個人や企業がデータをトークン化して売買でき、収益を得ることができるプロジェクトです。2018年2月に最初のホワイトペーパーが公開され、2018年12月にはテストネットがリリースされました。また、2019年5月1日には、BittrexにてOCEANトークンのIEOが実施され、その後の2020年10月には「Ocean Market」のベータ版がローンチされました。

OCEANトークンの時価総額は執筆時点の2022年4月時点で400億円を超えており、最大供給量1,410,000,000の内、すでに613,099,141 OCEANが流通しています。

OCEANトークンはガバナンス以外にも、Ocean Protocolのデータマーケットである「Ocean Market」でデータの売買の際に使用することができます。また、ステーキングによって流動性を提供することで手数料を収益として得ることにも使えます。OCEANトークンはBinanceやBybit等の大手取引所に上場しており、Uniswap等のDEXでも取引することができます。

Ocean Protocolの目的は、データにアクセスし収益化する機会を均等にすることで、AIの恩恵を広めることです。Ocean Protocolで用いられているデータNFTとデータトークンはERC721&ERC20ウォレット、取引所、DAOなどと相互運用が可能であり、またオンプレミスで保持することでプライバシーを保護することができます。

Data NFTとは?

Data NFTとは、データアセットをブロックチェーン上でNFT化し、著作権に対する独占的なライセンスを表すものです。Ocean ProtocolはこのライセンスをベースIPと呼んでいます。つまり、Data NFTの秘密鍵を所有することでホルダーとなり、Data NFTを所有するということはベースIPの所有を主張できるということになります。また、この資産から得られる収益を受け取る権利が得られます。

Data NFTのスマートコントラクト上にはベースIPに関するメタデータが含められており、ホルダーが適切に収益を受け取ることができ、他人がミントできないように管理されています。Data NFTがマーケットプレイス等で売買される際には、ベースIP自体の価値とこれに追随する収益が考慮された価格で譲渡される事が期待されます。Data NFTが売買されると、収益の送付先がリセットされ、新たなホルダーとなった者が収益を受け取ることが可能となります。

Data NFTはMetamaskのような様々なウォレットで管理することができます。また、OpenSeaやRaribleのようなNFTマーケットプレイスで情報を掲載して売買することも可能であり、今後ユースケースが多くなることが期待されています。

Ocean Marketについて

Ocean MarketはBalancerによってサポートされたAutomated Market Maker(自動マーケットメーカー)の一つであり、OCEANトークンによって様々なデータトークンが取引できます。データの公開はInitial Data Offering(IDO)と呼ばれており、データを直接販売することでユーザーは収益を得ることができます。タイトルや説明等のメタデータを入力した後、発行することができます。

Ocean Marketの強みは以下のような点が挙げられます。

  • データアセットはERC20トークンであるため、インターオペラビリティがあること
  • データトークンには管理者がおらず、分散的に管理されるため、単一障害点がないこと
  • プライバシーを保護しながら、排他的にデータアセットを販売することができるため、プレミアムを付与することができること
  • プールにはOCEANトークンとデータトークンが流動性提供されており、データトークンの価格がデータトークンが多く販売されるにつれて上昇すること

MOBIと提携した事例について

2018年、Ocean Protocolは非営利団体であるMOBIとパートナーシップを締結しました。

MOBIは2017年後半から2018年初頭にかけて世界のトップ自動車メーカーの50%以上が、モビリティサービスをより手頃な価格、より環境に優しく、より安全なものにするためのブロックチェーンの可能性について議論したことがきっかけで2018年5月発足した団体です。これまで100以上の企業、政府、NGO、非営利団体がコミュニティに参加しており、現在ではイベント、ハッカソン、週1回のチャンネルコールを開催しています。

Ocean ProtocolはMOBIと共同で3年間に渡って開催しているバーチャルハッカソンプログラムに対して100万ドルのグラントを拠出しました。モビリティ業界における事故データ、混雑データ、環境への影響に関するデータ等を利用することですべての人のアクセシビリティを向上させることを目指しています。

WISeKeyと提携した事例について

2021年5月、Ocean Protocolは世界有数のサイバーセキュリティ、IoT、AIプラットフォーム企業であるWISeKeyとNFTマーケットプレイスであるTrustedNFT.ioの立ち上げを進めていることを発表しました。TrustedNFT.ioは物理的なオブジェクトに特化したマーケットプレイスであり、アートに加えて高級時計等も扱われます。

WISeKeyのIoTテクノロジーは事実上すべてのセクターをカバーできており、様々な分野で15億個以上のマイクロチップがインストールされています。WISeKeyはこれまでに、物理的なオブジェクトとNFTを結びつけるための専用チップと、世界最高水準のブロックチェーンID技術を開発しました。これによって物理的なオブジェクトが保護可能なことに加えて、その所有権も確認することができます。さらにブロックチェーンID技術によって、物理的なオブジェクトが盗難にあった場合でも二次販売されることを防ぐことができます。

まとめ

本記事ではOcean Protocolで用いられているData NFTについてご紹介させていただきました。これまで一部の大企業が握っていたデータアセットを分散的に管理し、ホルダーが収益を得るということはあまり考えられなかったかと思います。Ocean Protocolを活用するとデータトークンを販売したり、Data NFTを所有したりすることで収益を得ることができます。すべての個人や企業が公平にデータアセットを所有できる未来は既に訪れており、今後様々な関連したプロジェクトが生まれることでしょう。

【参照サイト】Ocean Protocol
【参照サイト】Ocean Market
【参照記事】What Is a Data NFT?
【参照URL】oceanprotocol/papers – GittHub

ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。

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Fracton Ventures株式会社

当社では世の中をWeb3.0の世界に誘うことを目的に、Web3.0とDAOをテーマに事業を行っています。NFT×音楽の分野では、音楽分野のアーティスト、マネジメント、レーベルなどとNFTを活用した新しい体験を図るプロジェクトを行っています。