【暗号資産取引所の元トレーダーが解説】ボラティリティとリスクの関係

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今回はボラティリティについて、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ボラティリティとは
  2. インプライドボラティリティとは
  3. ヒストリカルボラティリティとは
  4. トレンドが始まる時にボラティリティが高まる
  5. ボラティリティに応じて取引数量を調節する
  6. ヒストリカルボラティリティをチェックするならGMOコイン

暗号資産(仮想通貨)はまだ歴史の浅い投資商品ですが、チャート分析、テクニカル分析というのは不変ものなので、昔からの相場で利用されている癖や捉え方というのは暗号資産のトレードでも利用できるものです。

暗号資産が他の投資対象と大きく異なる点は、やはりボラティリティと言えるでしょう。この記事では、ボラティリティとは一体何なのか、そしてどのような種類があるのか解説したいと思います。

①ボラティリティとは

よくマーケットでは「ボラティリティが大きい(値動きが大きい)」や、「ボラティリティが小さい(値動きが小さい)」という使い方をしますが、基本的にボラティリティは「価格変動の幅」を意味しています。

マーケットで慣れている方は、このボラティリティを味方につけてトレードをすることが多く、値動きがあるところに利益は生まれやすいということが言えるでしょう。

ボラティリティには、「インプライドボラティリティ」と「ヒストリカルボラティリティ」の2種類があります。この2つにどのような違いがあるのか解説します。

②インプライドボラティリティとは

インプライドボラティリティとは主にオプション市場でオプション価格を算定するために利用するボラティリティの種類です。マーケットでは「IV」という表記で示しています。

IVは将来の予想変動率を表しており、言葉の通り「将来どの程度動くのか」というマーケットの投資家の期待値がインプライドボラティリティの値に反映されています。

インプライドボラティリティは現物の値動きには直接的に影響しませんが、オプション市場ではダイレクトに影響します。オプション市場のポジションは現物資産の値動きに影響するため、インプライドボラティリティについても知っておいて損はないでしょう。

オプション市場がどのようなものか気になる方は別途オプション市場を説明している記事をご覧ください。

【関連記事】:【元トレーダーが解説】暗号資産オプション取引の基本

次にヒストリカルボラティリティについて説明します。

③ヒストリカルボラティリティとは

ヒストリカルボラティリティとは、ビットコインなど原資産の過去の一定期間の値動きに基づいて計算された数値です。統計学の標準偏差を利用して、年率換算されています。ヒストリカルボラティリティは「HV」と表記されます。

HVをチェックすることによって一定期間の値幅が理解できるため、投資家にとってはチェックすべき数値であり、利用方法を覚えることでリスク管理にも応用できるでしょう。

この数値が高いほど変動リスクが高く、低いほど変動リスクが低いと判断します。計測期間によって判断も異なりますが、一般的にHVが高いときは取引数量を減らし、HVが小さいレンジ相場のような時には取引数量を増加させることでリスクコントロールを行います。

リスク管理のための材料として利用して頂くと良いでしょう。

④トレンドが始まる時にボラティリティが高まる

それでは、このボラティリティはどのようなタイミングで利用するものなのかを解説します。

トレンドが発生する場面で急激にボラティリティが大きくなることがあります。そのため、ボラティリティと出来高をチェックすることでトレンドの判断に役立ちます

Volatile
上記はGMOコインのビットコインの日足チャートです。

ローソク足チャート下部のヒストグラムは出来高を表しており、下段のインジケーターはヒストリカルボラティリティを表示しています。チャートの中央部分を見ると、値動きが横ばいで推移しており、ヒストリカルボラティリティも低下する傾向が強くなっています。

レンジ相場の時はこのようにヒストリカルボラティリティが低下しやすくなります。そして昨年の後半からビットコインは上昇トレンドを形成し始め、出来高は徐々に増加し、ヒストリカルボラティリティも上昇傾向に転じます。チャートの右側部分、昨年末から今月にかけて出来高とヒストリカルボラティリティをご覧頂くと相関があることが理解できるでしょう。

トレンドが出る時は、出来高増加に伴って価格が大きく動き、ヒストリカルボラティリティの数値も大きくなるという例です。

⑤ボラティリティに応じて取引数量を調節する

先ほど、ヒストリカルボラティリティに応じて取引数量を調節し、リスク管理に役立てるとお伝えしましたが、ここではその点を詳しく解説したいと思います。

仮に3種類の暗号資産が、以下のようなヒストリカルボラティリティだったとします。

  • 暗号資産A:100%
  • 暗号資産B:50%
  • 暗号資産C:5%

この3つに投資を行う時、取引数量は3等分で良いのでしょうか。

答えは「NO」です。

上記の場合、暗号資産Aに10万円投資をするのであれば、暗号資産Bには20万円、暗号資産Cには200万円投資することによって、予想される値動きから発生する円換算の損益は同水準に収まりやすいと考えられます。

HVが5%程度しか動かない場合、200万円投資することで最大±10万円の損益が発生します。一方で100%の値動きが発生する場合10万円を投資すると、これも同様に±10万円の損益が発生すると予想されます。

このようにヒストリカルボラティリティから逆算して投資額を設定することでリスクコントロールができます。これはとてもシンプルで暗号資産FXの初心者でも行いやすいため実践してみるといいでしょう。

⑥ヒストリカルボラティリティをチェックするならGMOコイン

GMOコイン
ボラティリティというのは暗号資産をトレードする上でとても大切で覚えるべき内容のものということは理解できたのではないかと思います。

これはトレードに直接影響するというものではありませんが、トレードで一番大事なリスク管理の部分で重要な情報となります。

トレードで一番大事なことはリスクコントロールだと筆者は考えています。経験があったとしても、このリスク管理が身に付いていない投資家はいつまでもギャンブルのようなトレードを行ってしまい、またそのトレードがどれだけ危険かも理解できないまま淘汰されてしまいます。

このヒストリカルボラティリティは上記で示したGMOコインのテクニカル指標に実装されています。GMOコインは暗号資産FXのトレーダーから暗号資産の初心者の方まで幅広く対応できる暗号資産取引所です。

GMOコインはGMOインターネットグループの参加であり、その子会社にはGMOクリック証券もあります。GMOクリック証券のFXは日本でも屈指のユーザー数を誇っており、GMOコインはそのユーザビリティーを受け継いでサービスを展開しています。そのためGMOコインは初心者から中上級者までとても利用しやすい取引所となっています。

暗号資産FXの種類も豊富となっており、板取引からOTCのレバレッジ取引まで揃っているため、口座開設を行って色々と機能を利用してみるといいのではないかと思います。テクニカル指標もとても豊富なので一度GMOコインでテクニカル分析を行えば、さらにその使いやすさを感じることでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12