今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の赤澤直樹 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。
目次
- 時代は企画力勝負へ!
- NFTのおもしろい企画6選
2-1. ランダム性を導入したNFT
2-2. 権利をNFT化
2-3. バーナブルNFT
2-4. ダイナミックNFT
2-5. コンポーザブルNFT
2-6. フラクショナルNFT - まとめ
2021年に入り多くのNFTが発行され、中には何十億円というような取引が行われるNFTも誕生しています。その中にはその手があったか!と膝を叩きたくなるような面白い企画もいくつが登場しています。この記事では、ただ単にNFTを出すだけではない興味深いNFTの運用方法を紹介します。
1. 時代は企画力勝負へ!
NFTがアーティストやクリエイターの間で話題になり始め、NFTが発行され販売・配布される例が多くなってきました。多くのNFTが販売・配布されるようになったことは裏を返せば、独自性やオリジナリティを考えることで個性を出さなければすぐに埋もれてしまうことになります。
このような背景から、個性を出すために企画力に注力する例が増えています。ここで言う企画とはただ単にアートや作品をNFTとして発行するだけでなく、発行や流通の際にさまざまなユニークな機能を実装し、NFTの使い方の部分において行われている工夫のことを指しています。
2. NFTのおもしろい企画6選
NFTの発行が以前に比べ手軽になってきたことでこれまで以上に企画力がフォーカスされるようになりました。ここでは、その手があったか!と思わせてくれる企画を6つ紹介します。
ランダム性を導入したNFT
ランダム性を持たせることはワクワク感を醸成するために使われる常套手段の一つでしょう。元祖NFTブームの火付け役である「CryptoKitties」はある種のランダム性を持たせていました。猫のキャラクターをNFTとして発行しており、そのキャラクターを交配させて新しい猫を生成することが可能です。その際、模様のような複数の特徴がランダムに設定されるようになっており、レアな特徴を持った猫のNFTは高額で売買されるといった事例が生まれました。
権利をNFT化
NFTとして扱われるのはアート作品やゲームのキャラクターだけではありません。権利のようなインタンジブル(無形)な資産もNFTとして扱えます。
例えば、箕輪厚介 氏が手がけるサウナ専門雑誌「サウナランド」の電子書籍をNFTとして1点限定でオークション販売し、入手した人に対して「サウナランド」の電子書籍を出版・販売できる商用利用権を与える企画が実際に行われました。
また、MintGateというプロジェクトは特定のトークンを持っている人だけが内容を閲覧できるURLを生成するサービスを提供しています。限定のコンテンツの閲覧権をトークンを持つことで保有できるという新しい体験が可能です。
バーナブルNFT
NFTといえば発行に焦点があたりがちですが、あえて消滅させてしまうことも可能です。消滅させることをバーン(burn)と言いますが、そうすることで新たなトークンを取得できたり、何かの特典を手に入れたりといった工夫をすることも可能です。なお、バーンしたNFTは永遠に流通することがなくなるため、本当の意味で完全な「焼却」ということとなります。
例えば、デジタルアーティストPak氏が、NFTをバーンすることで新たにASHトークンを入手できるプラットフォームを立ち上げる計画を2021年4月に発表しています。このプラットフォームでは、ASHでしか交換できないNFTの発行も検討されており、新しいNFTの使い方として注目されています。
ダイナミックNFT
時間によって変化するNFTも考えられています。本来ブロックチェーンはブロックチェーンの外側のデータを参照することができません。例えば、天気予報のようなシンプルな情報であっても、ブロックチェーン上のスマートコントラクトで利用するには、その情報が正しいものであるかを検証する必要があるため、特別なメカニズムが必要となります。そのために開発されているソリューションがオラクルと呼ばれるものです。
オラクルを使うことで、何かしらの情報(例えば、ゲームの戦績や気温や時間など)をNFTにダイナミックに反映させて、時間と共に変化するNFTを作ることが可能です。2020年3月には、オラクルを開発しているChainlinkとスポーツファンのエンゲージメントプラットフォームを開発しているChilizが提携し、現実のイベントに基づいてNFTを自動で発行する仕組みを実現するアナウンスがなされました。
コンポーザブルNFT
組み合わせることができるNFTも作ることができるでしょう。例えば、ゲームのキャラクターとそのキャラクターが持っているアイテム(武器や防具など)を組み合わせるような運用です。いくつかの種類のNFTを収集し組み合わせることでユニークな価値や機能が引き出される仕組みは、まるでレゴブロックのような面白さがあります。
中国・香港拠点のゲーム開発会社Animoca Brandsが開発している「F1®Delta Time」ではこのタイプのNFTを発行しており、コンポーザブルNFTであるアイテムを持っているかどうかで性能やパフォーマンスに影響を与えるような仕掛けを施しています。コンポーザブルNFTの最大の特徴は組み合わせによって結果が変わるギミックを入れられるところにあり、ゲームをはじめとするさまざまな領域に応用される可能性が秘められています。
フラクショナルNFT
フラクショナルNFTは、ある一つのNFTをバラバラに分割して所有するような仕掛けを持ったNFTのことです。イメージとしてはBeepleの高額なNFTを大勢で分割所有するような形です。バラバラに分割することで、一つひとつの細かいパーツは比較的安価となり一般ユーザーでも保有しやすくなる上に、流動性を高めたり価値がどのくらいなのかを検討しやすくなるといったメリットがあります。
ただし、フラクショナルNFTは法令上の暗号資産や証券などに該当することも考えられるため実際に行うには慎重な検討が必要になるでしょう。
まとめ
多くのアーティストやクリエイターがNFTを発行・配布するようになったことで、今まで以上に企画力が求められる時代となってきました。スマートコントラクトによるプログラマブルな性質を生かして、より柔軟な性質や機能を実装したものも登場しています。この記事内で紹介したさまざまな企画・運用方法を知ると色々な可能性が広がりそうでワクワクしてきませんか?
そもそも、NFTはコピープロテクトの技術ではなく、データと所有者を紐づけ改ざんできなくすることで資産性を与える技術です。そのため、NFTを持っているという事実・権利をいかに面白くデザインできるかが重要なポイントの一つになってきます。
ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。
Fracton Ventures株式会社
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