ビットコインのオンチェーン分析項目「Liquidity(流動性)」をトレードに活かしてみよう

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今回は、オンチェーン分析の指標の一つである「Liquidity」について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. オンチェーン分析のLiquidityとは?
  2. Liquidityデータの入手先
  3. Liquidityで何がわかるか?
  4. Liquidityのトレードへの活かし方
  5. まとめ

オンチェーン分析とは、ブロックチェーン上のデータを分析し、ユーザー数、保有量、トランザクション量などを測定し、仮想通貨(暗号資産)の資産価値や利用動向の観測に活用するための手法です。取引データが公開台帳に記録されている透明性の高いビットコインならではの分析方法です。

これまでHedge.guideではビットコインのオンチェーン分析手法として、クジラの動きを捉える「Exchange inflow/outflow」やマイナーの動向を観測する「Miners’ Position Index」についてご紹介しました。今回はLiquidity(リクイディテイ)について解説します。

①オンチェーン分析のLiquidityとは?

Liquity
Liquidityを日本語に訳すと「流動性」という言葉になります。ここでいう流動性とは仮想通貨がどれくらい市場に出回って取引をされているのかを指します。

例えば、ビットコイン(BTC)を長期的な目線で投資をしている方は、取引所でBTCを購入した後に個人のウォレットで保管します。

一方、短期筋は現物ビットコインを買っても短期で売却をするのが一般的です。取引所のアカウントから、外部のウォレットに送金する事はないでしょう。

ブロックチェーンにはアドレス間の送金記録が保存されているので、どういった数量の仮想通貨がネットワーク上で動いているか(=流動的な状態)がわかります。Liquidity(流動性)はその度合いを示し、流動性の多寡によって価格変動にも影響を及ぼすと見ることができます。

②Liquidityデータの入手先

Liquidityのデータ入手先ですが、Glassnodeのデータが一番把握がしやすいです。

Glassnodeはブロックチェーンデータや仮想通貨に特化したチャートなどを提供しているドイツの会社で、世界中の仮想通貨トレーダーが活用しているサイトです。ビットコインの大口動向や仮想通貨取引に特化したオリジナルのインジケーターを用いたチャートを用いてマーケット分析ができ、オンチェーン分析以外の情報も手に入れる事ができます。

Liquidityのデータを入手するには有料のサブスクリプション登録が必要となりますが、オンチェーン分析に本格的に取り組みたい方にはお勧めできるサイトです。

③Liquidityで何がわかるか?

Exchange inflowは取引所外のアドレスから仮想通貨取引所へと送金されたビットコインの流入量を表す数字でした。

Ex inflow

一方でLiquidityは、移動している仮想通貨の総量の事です。Exchange inflowとして算入される数字以外にOTC取引などの取引所外で動いている仮想通貨も含まれます。Liquidityからわかることは、どの程度のビットコインが市場に出回っているかという点です。

仮に、ビットコイン(BTC)の全供給量のうち78%が非流動的と分類されるグループによって保有されているとします。その場合、市場で売買可能な(流動的な)BTCは22%のみとなります。このように流動性が低い市場環境では、取引板がスカスカの状態となり価格が暴れやすく、かつ需給の関係から価格は上がりやすい状況となります。流動性が高い場合はその逆です。

また、Liquidityから市場のセンチメント(心理状態)も推測できます。流動性が低く、ビットコインを長期保有している投資家が多い場合は、投資家は将来的な値上がりを見越していると考えられます。投資家心理としては「強気」と判断します。

逆に流動性が高い状態の時は基本的にはこれ以上は上がらない、もしくは上がるまでには時間がかかるため手放したいと考えている投資家が多く、「弱気」と判断されます。

④Liquidityのトレードへの活かし方

最後にLiquidityのオンチェーン分析をトレードに活かす方法について解説します。

Liquidityのデータは単独で使用しても、具体的なトレードの材料とまではなりません。まずはLiquidityのデータを見て、前日よりも流動性が上がっているか、もしくは下がっているのかを確認しましょう。そしてExchange inflowで取引所への流入量が増えているのか、そしてTrade intensityで買いの勢いがどの程度ありそうなのか、それぞれ環境認識をした上で、より詳細なテクニカル分析へと移行するトレードが望ましいと考えます。

Liquidityの増加が確認できた際は、長期保有者がビットコインを売却しようとしていると解釈できます。価格上昇が難しくなっている局面であると考えて、売り目線でテクニカル分析をすると良いでしょう。

Liquidityの減少が確認された場合は、長期投資家が保有を継続傾向にあることを意味します。相場環境としては価格の下落はしづらい地合いとなります。このような地合いの時は基本的には買い目線でトレードを考えると良いでしょう。

⑤まとめ

今回使用したLiquidityは、Glassnodeで入手することができます。全てのデータを閲覧するにはサブスクリプション購入が必要ですが、無料で見られるデータも多く参考にしてみてはいかがでしょうか?

仮想通貨トレードでオンチェーン分析ができるようになる事はファンダメンタルズ分析を数字でできるようになることと同義です。仮想通貨のトレーディング戦略の参考材料として研究してみると良いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12