今回は、NFTゲーム化が予定されるサンシャイン牧場について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- HashPaletteとは?
1-1.HashPaletteの概要と沿革
1-2.HashPaletteの事業内容 - HashPaletteがNFTゲーム化する「サンシャイン牧場」
2-1.サンシャイン牧場とは?
2-2.NFTゲーム版サンシャイン牧場
2-3.サンシャイン牧場で採用される「パレットチェーン」 - まとめ
2022年4月14日、株式会社HashPaletteのブロックチェーンゲームスタジオ部門であるHashGamesは、「サンシャイン牧場」をNFTゲームにする権利を取得したことを明らかにしました。
サンシャイン牧場は、SNS「mixi(ミクシィ)」において不動の人気を誇ったシミュレーションゲームです。これに伴い、HashGamesはファーミング型ブロックチェーンゲームの開発を進めていくと説明しています。
今回は、HashPaletteが開発するNFTゲーム「サンシャイン牧場」について、その概要や特徴を解説します。
①HashPaletteとは?
1-1.HashPaletteの概要と沿革
HashPaletteとは20年3月に設立された「株式会社HashPort」のNFT事業子会社で、吉田世博氏が代表取締役を務めています。HashPaletteではエンターテイメント領域に特化した「パレット(Palette)」と呼ばれるブロックチェーンネットワークを提供しており、プラットフォーム上ではデジタルコンテンツの発行や管理、流通などができるようになっています。
パレットのネイティブトークンは「パレットトークン(PLT)」です。パレットトークンは主にパレットチェーン上におけるガス代(取引手数料)の支払いに用いられており、日本で初めて「IEO(Initial Exchange Offering)」を実施したトークンとしても知られています。IEOとは資産調達の手法の一つで、ブロックチェーンプロジェクトといった仮想通貨の発行元が仮想通貨取引所を通して自身のトークンを上場させ、投資家から資金を集める方法です。
HashPaletteでは21年7月に国内では初めてIEOを実施しており、大手仮想通貨取引所の「コインチェック」を介してパレットトークンの発行および販売を行いました。このIEOでは販売スタートからたったの6分で目標としていた申し込み総額9億3,150万円(2億3,000万PLT)を達成し、その注目度の高さを証明しました。
1-2. HashPaletteの事業内容
HashPaletteの主な事業内容は下記の通りです。
- ブロックチェーンに関するコンサルティング事業
- 仮想通貨交換業向けウォレットシステムの開発事業
- NFTシステムの開発事業
②HashPaletteがNFTゲーム化する「サンシャイン牧場」
2-1.サンシャイン牧場とは?
サンシャイン牧場とは、「株式会社ミクシィ」が運営を行っているソーシャル・ネットワーキング・サービス「mixi」においてユーザー規模1,000万人以上を誇る大人気の牧場育成シミュレーションゲームです。もともとは中国を拠点とするゲーム開発企業の「Rekoo(热酷)」が開発したゲームで、日本国内におけるサービス展開については、2009年10月に設立されたRekoo Japan株式会社というRekooの日本法人が担当していました。基本プレイ無料のサンシャイン牧場は急激に人気を高め、mixiでのサービス提供をスタートしてからわずか10ヶ月足らず、2010年6月にユーザー数が500万人に到達すると。その後1,000万人を突破するなど、異例の記録を打ち立てました。
サンシャイン牧場は前述の通り「牧場育成シミュレーションゲーム」となっており、ユーザーは牧場のオーナーという立場で農作物や家畜を育てて収穫します。自身の牧場の管理を進めていくことで「収穫度」と呼ばれる数値が上昇していき、この収穫度が一定の数値に達した時点で、レベルアップできるという仕組みになっています。そのほか、ユーザーが自身が収穫した農作物や家畜を売却することもでき、売却によって獲得したコインを使用して新たに作物の種や家畜を購入することが可能です。
mixi上で展開されたサンシャイン牧場は、16年8月26日をもってサービスの提供を終了しています。終了時点で未使用のゲーム内通貨に関しては、サービスの提供終了に伴って消失し、返金や換金などといった対応は行なわれないと発表されました。
2-2.NFTゲーム版サンシャイン牧場
22年4月14日、HashPaletteのブロックチェーンゲームスタジオ部門として知られるHashGamesがサンシャイン牧場のNFTブロックチェーンゲーム化権を獲得したことを明らかにしました。これに伴い、HashGamesは日本国内において初の事例となる「ファーミング型ブロックチェーンゲーム」の開発を進めていくと説明しています。
なお、NFTゲーム版はiOSおよびAndroid向けにリリースされるということです。リリース日程はまだ発表されていませんが、mixiで大きな人気を博していたサンシャイン牧場のNFTゲーム化に、各界からは期待の声が上がっています。
2-3.サンシャイン牧場で採用される「パレットチェーン」
パレットチェーンはエンターテインメント領域で活用されることを想定して開発されており、取引手数料も比較的安価に設定されています。NFTゲーム版の仮名称は「サンシャイン牧場 – NFT」と発表されており、パレットチェーン上において稼働するということです。「サンシャイン牧場 – NFT」では、原作と同じように農作物や家畜を自身の牧場で育成することができます。
「サンシャイン牧場 – NFT」は、ブロックチェーンテクノロジーを活用して、農作物や家畜、牧場の土地などのNFT化を実現しており、これらを管理および運用することによってトークンを獲得できる「Play to Earn(プレイして稼ぐ)」モデルのNFTゲームとなっています。また、ユーザーは自身が育成した農作物や家畜などといった生産物を他のユーザーと交換することが可能で、それによって自身の牧場のさらなるレベルアップを図ったり、収穫の効率をあげたりすることができると説明されています。
このほかにも、サンシャイン牧場 – NFTにおいて利用できるNFTアイテムは、HashPaletteが提供している独自のNFTマーケットプレイス「PLT Place」で取り扱われる予定となっています。また、発行したNFTはPalette以外のブロックチェーンネットワークでも利用することが可能です。現在、イーサリアム(Ethereum)をはじめとする3つのブロックチェーンネットワークとのクロスチェーンに対応しており、NFTの発行及び流通のハブとして利便性が高くなっています。
③まとめ
もともとmixiにおいてユーザー数1,000万人を突破するなど、圧倒的な人気を誇っていたサンシャイン牧場ですが、今回のNFTゲームによって再びこの人気ゲームが復活することとなりました。基本的なプレイスタイルはこれまでと同様ですが、NFTゲームにおいてはブロックチェーンの最新テクノロジーを駆使して、農作物や家畜をNFT資産として保有することが可能となります。mixi上のサービスが終了した際、当時のゲーム内資産は全て消失してしまいました。今後は、ブロックチェーンテクノロジーによって自身の資産として保有し続けることができるようになるでしょう。
詳しいリリース日時はまだ明らかにされていませんが、興味のある方は仮想通貨取引所コインチェックでパレットトークンを購入しておいても良いでしょう。パレットチェーンでは、NFTの決済に「PLT」を使用するので、サンシャイン牧場-NFTのアイテムもPLTで購入することになる可能性があります。
中島 翔
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