【元トレーダーが解説】レバレッジ取引でショートポジションを作るときの注意点

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証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. レバレッジ取引のショートのメリット
  2. レバレッジ取引ショートポジションの注意点
    2-1. 損切りの徹底は必須事項
    2-2. ポジションコストがかかるケースがある
  3. ショートポジションは損切りができるようになってから

ビットコインは上昇するのも早ければ下落するのも早い商品です。2017年台後半のバブル期にはわずか数日で倍以上に高騰したものの、その後6か月かけて3分1の価格まで下落するなど、ジェットコースターのような動きを見せてきました。

この値動きでレバレッジ取引を行うと、資金が急激に増えることもあれば、あっという間に資産を失うこともあります。しかし、レバレッジ取引にも重要な利点があり、それは「ショートポジションで利益を出すことができる」というものです。

レバレッジ取引は差金決済取引であるため、ショートからでもポジションを持つことができます。ここでは下落相場で利益を出したいトレーダー向けに、ショートポジションを作るときの注意点を経験談も含めて解説したいと思います。

①レバレッジ取引のショートのメリット

最初にレバレッジ取引のショートのメリットについて解説したいと思います。

相場は緩やかに上昇して急に下落するという動きがとても出やすいものです。株式市場のトレーダーでも売り(空売り)から入って利益を大きく出す手法で利益を出すトレーダーも多く存在します。この傾向は人間の弱い心理を表しているとも言えます。Short 1
上図はビットコイン円の日足チャートです。青色の○印で上昇トレンドを形成していましたが、その後の緑の○印の角度が急なことがわかるでしょう。

このように、じり高で上昇して急落する動きは市場で頻繁に見られます。ビットコインの場合は特に、下落を始めると恐怖感から、一抜け、二抜けと一人ずつ利益確定をしながらマーケットから撤退します。そのような過程で、下落スピードが早まる傾向があることを覚えておきましょう。

逆に考えると、下落のタイミングを適切に掴めると、利益を出しやすいことがわかると思います。これがレバレッジ取引のショートポジションのメリットです。上下両方向で利益を上げるチャンスがあるということです。

続きまして、このメリットを理解した上で、ショートポジションの注意点を説明したいと思います。

②レバレッジ取引ショートポジションの注意点

1. 損切りの徹底は必須事項

ショートポジションを取り、狙い通り下落した場合、利確の目処はある程度判断しやすいものです。しかし、予想に反して上昇してしまうと、損切りの目処が判断しづらいケースがあります。Short 2
上図はビットコイン円の日足チャートです。最初に、緑の○印でチャートが崩れたかのような陰線が出現します。

ここでショートポジションを構築したと仮定しましょう。その後、予想に反して相場は再度上昇し始め、元々のレジスタンスラインだった黄色の水平線を突破してしまいます。このような場合、損切りの目処が全く無いことがわかるでしょう。

この場合、損切りのタイミングは、最初のレジスタンスラインを突破した時点です。しかし、初心者は「また戻ってきた時に損失0で逃げたい」と甘い考えでポジションを保有し続けてケースが多くあります。

ロングポジションであれば下値の目処もたくさんあることから、損失確定のチャンスも多くなっています。しかし、ショートの場合はどこまで上方向に進むかわかりません。暗号資産の場合、数倍に上昇しても不思議ではありません。そのため、ショートをしかける時は損切りの徹底は必須です。

上のチャートでレバレッジ3倍を賭けていたと想像すると、資産がいくらあっても足りないと実感できるでしょう。

2. ポジションコストがかかるケースがある

暗号資産取引所にもよりますが、ポジションの管理コストがかかる場合があります。

暗号資産市場では恒常的に、ショートよりもロングポジションを取っているトレーダーが多いです。そのためロングポジションを保有すると、ポジション管理コストがかかる場合が多いと言われています。

また日本の暗号資産取引所の場合、レバレッジ取引でポジションを保有しすると、ロングポジションもショートポジションも保有コストがかかります。

現物の場合、ポジション管理コストはありません。レバレッジ取引やCFDの場合にのみかかるコストのため、この点は理解しておくようにしましょう。

レバレッジ取引で長期保有を行う投資家はあまりいないと思いますが、ポジションを持ち続けるとコストが膨らむことがあります。ポジション管理コストは常に意識するようにしましょう。

③ショートポジションは損切りができるようになってから

筆者も駆け出しのころに、ショートポジションで損切りができず、かなりの痛手を被ったことがあります。この損失は被るべくして被ってしまっているものです。勉強代として心の中で整理しました。

その時学んだことが、「損切りの徹底」の重要性です。

相場では頻繁に急落が起きており、そこで利益を出している投資家が多いのも事実です。普段、トレーダーは1円でも高いところで売ろうと考えて虎視眈々と待ち構えています。しかし、一旦下落し始めると、我先にと雪崩のように売りに出るので、急落やストップロスが発生します。

その一方で、前述の高値更新ケースのように、上方向への動きの恐怖もとても大きいものです。ショートポジションを行う上で、一敗で全資産を失うことの内容、損切の徹底は必ず意識しましょう。

暗号資産のマーケットは歴史が浅く、法定通貨のFXのように歴史的なレンジがあるわけでもありません。そのため、天井や大底の目途はありません。10,000倍になっても不思議ではないマーケットです。

そのようなマーケットでショートポジションを取る危険性は認識しておく必要があります。この記事で一人でも多くの人が、ショートポジションの損切りの大切さを学び、トレード判断の参考にして頂けると幸いです。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12