今回は、SBINFT Marketについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- SBIグループとは?
1-1.SBIグループの概要
1-2.SBINFT株式会社 - SBINFT Marketのローンチ
2-1.SBINFT Marketの前身「nanakusa」
2-2.スマートアプリの子会社化 - SBINFT Marketの特徴
3-1.2種類の販売方法
3-2.パブリックブロックチェーンを採用
3-3.「Startrail」を搭載
3-4.販売手数料
3-5.対応言語の追加 - SBI NFT Marketの使い方
4-1.SBINFT Marketの商品ラインナップ - まとめ
22年3月、SBIグループにおいてNFT事業を担う「SBINFT株式会社」は、新しいサービス「SBINFT Market」をリリースしました。これは「nanakusa」と呼ばれる国産NFTマーケットプレイスを買収し、リブランディングしたものです。SBINFT Market(旧nanakusa)は、定期的に募集し、審査を経た150人以上の公認アーティストと、提携パートナーのNFTの販売、及び流通市場となっています。
ブロックチェーンを活用した「NFT(Non-Fungible Token)」市場は、近年急速に拡大しており、アートや音楽、イラストなど多くの分野で注目されているため、SBI傘下の既存のブロックチェーン企業との様々なシナジーが期待されています。今回は、「SBINFT Market」について解説します。
①SBIグループとは?
まずSBIグループについての基本概要を解説します。
1-1. SBIグループの概要
SBIグループは、北尾吉孝氏をCEOとする金融コングロマリットです。金融サービス事業、バイオ関連事業、アセットマネジメント事業の3つを主要事業としています。元々はソフトバンクの子会社である「ソフトバンク・インベストメント」が前身でしたが、現在は金融グループとして独立しています。
SBIグループは特に、ネット銀行やブロックチェーン、私設取引システムの運営といった新興市場における事業開発を得意としています。また、新生銀行に対するTOB(株式公開買付け)を宣言するなど「第4のメガバンク」の座を目指して規模の拡大を図っています。
1-2. SBINFT株式会社
SBINFT株式会社は、NFTの発行や販売、購入を行うプラットフォームを運営しています。NFTによって、世界に新たなサービスを提供することを企業理念として掲げています。
SBINFTは21年に「nanakusa」というNFTマーケットプレイスを買収しており、このほど「SBINFT Market」にリブランディングした格好です。SBINFTはNFTマーケットプレイスのほか、技術支援やコミュニティビルディング、販売戦略立案といったコンサルティングも行っています。
②SBINFT Marketのローンチ
「SBINFT Market」について、解説します。
2-1. SBINFT Marketの前身「nanakusa」
nanakusaとは、「株式会社スマートアプリ」によって開発されたマーケットプレイスです。21年3月のベータ・ローンチからわずか6か月後、スマートアプリはSBIホールディングス株式会社の連結子会社となりました。
nanakusaでは公認されたコンテンツホルダーやクリプトアーティスト、NFT販売事業者が制作したNFTの一次販売と、ユーザーが所有するNFTを売買できる二次販売が可能です。
2-2. スマートアプリの子会社化
SBIグループは昨年9月、スマートアプリの株式を取得して連結子会社化しました。同時期にスマートアプリの社名はSBI NFT株式会社に変更されました。
SBIグループは仮想通貨取引所事業やeスポーツ事業、アートオークション事業などを実施しています。それらの既存事業との相性が良いため、NFT事業への参入を決断したと述べています。
③SBINFT Marketの特徴
次に、今回新たにリリースされたSBINFT Marketの特徴について、解説します。
3-1. 2種類の販売方法
SBINFT Marketには、任意の価格でNFT作品を販売できる「通常販売」と、オークション形式で販売する「オークション販売」の2種類の販売方法が用意されています。
3-2. パブリックブロックチェーンを採用
SBI NFT Marketは、パブリックブロックチェーン(イーサリアム、ポリゴン)に対応したNFTマーケットプレイスとなっています。
日本の国内企業が運営するNFTマーケットプレイスでは一部の機能をオフチェーン(ブロックチェーンの外)において展開しているケースが多いのですが、SBI NFT Marketはパブリックブロックチェーンを採用している点で世界標準のプラットフォームとなっています。そのため、決済は暗号資産(ETH、MATIC)払いに対応しており、クレジットカードも使用できます。
また、二次流通が可能なため、ユーザーはNFTの販売や購入が可能です。取引が成立すると、発行者である公認アーティストや提携事業者にロイヤリティが還元される仕組みです。
3-3. 「Startrail」を搭載
「Startrail」とは「スタートバーン株式会社」によって提供されているアート流通・評価システムです。SBINFT Marketはこの技術を搭載しています。
スタートバーンは21年9月にSBINFT Marketとパートナーシップを締結しており、アート作品に対してブロックチェーン証明書(NFT)が発行できるようになっています。これにより、作品の売買や贈与が行われる度に、その情報が自動で記録されるようになっています。
3-4. 販売手数料
リブランディングに伴い、nanakusaのシステムはそのままSBINFT Marketへ移行する形となっています。ただし、販売手数料については改訂されています。
公認アーティストや提携事業者によって一次販売が行われる際、以前は販売手数料が7.5%でしたが、SBINFT Marketでは10%に改訂されています。
3-5. 対応言語の追加
元々、nanakusaは日本語と英語のみの対応となっていましたが、リニューアルによって中国語と韓国語が追加されています。より国際的なマーケットになることが期待されています。
④SBI NFT Marketの使い方
SBI NFT Marketを使用できるウォレットは、「MetaMask(メタマスク)」と「Torus Wallet(トーラスウォレット)」の2種類です。
MetaMask(メタマスク)は世界で最も有名なウォレットのひとつで、ブラウザとアプリがあるのでパソコンとモバイル端末で管理できます。Metamskは操作が比較的簡単で日本語にも対応しているので初心者でも使いやすい仮想通貨ウォレットとして人気です。ダウンロード方法は以下の記事をご参照ください。
【関連記事】:MetaMaskのウォレット作成方法、OpenSeaへの連携方法について解説【NFTマーケットプレイス導入準備】
4-1. SBINFT Marketの商品ラインナップ
SBINFT Market(旧nanakusa)は、アーティスト(アナログ/デジタル)、フォトグラファー、イラストレーター、作家、ミュージシャン、声優、動画クリエイターなど、アーティスト活動を行っている方、または今後NFTでアーティストとして活動を目指している方の作品を取り扱っています。定期的に募集し、審査を経た公認アーティストは150人以上に上ります。
また、提携パートナーのNFTも取り扱っています。フィギュアの造形・企画・販売を行う海洋堂や、日本の貴重な文化遺産である浮世絵および浅井コレクションを世界に紹介していくために、浅井コレクションが設立したクールアート東京など、様々な日本発のアート作品のオークションや二次流通市場となっています。
⑤まとめ
SBINFT Marketは前身となるnanakusaの特徴を受け継ぎつつ、さらに進化した新しいサービスを提供していくとのことで、国内でも注目度が高まっています。国内のマーケットプレイスが独自のブロックチェーンやオフチェーンを採用している中、SBINFT Marketは世界最大級のNFTマーケットプレイス「OpenSea」などと同様、パブリックブロックチェーンを用いており、今後の世界展開も大いに期待されています。
SBINFT Marketのサービスを体感するにはイーサリアム(ETH)が必要です。まずは国内の仮想通貨取引所で口座開設してイーサリアムを用意してはいかがでしょうか。
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中島 翔
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