今回は、Coincheck NFT(β版)でも取扱いのある「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- The Sandboxの概要
- The Sandboxの楽しみ方
2-1.プレイヤーとして楽しむ
2-2.クリエイターとして楽しむ
2-3.投資家として楽しむ - まとめ
①The Sandboxの概要
まずは、The sandbox の概要について解説します。
The Sandboxはユーザー作成型のゲームであり、ユーザーはプリセールで売りに出される仮想空間上(メタバース)の土地(LAND)を買い、キャラクターやアイテム・ゲーム・イベントを作成し、それらをNFT(Non Fungible Token、ノン・ファンジブル・トークン)化して市場で取引できます。
ゲーム自体は10年ほど前からパソコンやスマートフォンなどで存在しています。2019年10月時点に既に4,000万ダウンロード・月間ユーザー100万人以上と、注目度の高いプロジェクトです。
ブロックチェーンゲーム版のThe Sandbox(未ローンチ)は、イーサリアム上に展開されるゲーム空間のプラットフォームだと考えてください。ブロックチェーンゲームでは、ユーザーがゲーム内でのポイントを仮想通貨として受け取ったり、獲得したアイテムを他のプレイヤーに販売したりできます。
The Sandboxの初期投資家には、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで成功したゲーム業界大手のスクエア・エニックスや、アタリコンピューター、NFTの元祖「CryptoKitties(クリプトキティ―ズ)」を生み、「NBA TOP SHOT」でも成功したDapper Labsなどが名を連ねます。加えて2021年11月には、ソフトバンクグループ(SBG)傘下のビジョン・ファンド2などから9300万ドルを調達したことが報じられてます。
日本では仮想通貨取引所コインチェックのNFTマーケットプレイス(β版)で、The Sandboxの仮想空間上の土地(LAND)が販売され、すぐに完売したことでも話題となりました。
②The Sandboxの楽しみ方
次に、ゲームプレイヤー、クリエーター、投資家の3者の視点から見たThe Sandboxの実際の楽しみ方について解説します。The Sandboxの特徴は大きく分けて3つあります。それぞれの概要について解説します。
①Metaverse(メタバース)
Metaverse(メタバース)はThe Sandboxの仮想世界のことです。Metaverseの使われ方は、大きく二つに分かれます。
一つは仮想空間上の「土地」としての使用と「ゲーム空間」としての使用です。土地は仮想空間内のデジタル不動産であり、LAND(ランド)としてNFTマーケットプレイスで販売されています。
The Sandboxの仮想空間に166,464区画のLANDが存在し、プレイヤーはその上に建物やゲームなどのデジタルアセットを構築できます。これらのデジタル不動産は他のユーザーにレンタルして不動産収入を得たり、NFTマーケットプレイスで販売するといった使い方があります。また、日本の仮想通貨取引所コインチェックもLANDを取得して、ユーザーに販売しています。
②ゲーム開発SDK
SDKとは、複雑なブロックチェーンの知識がない場合でもスマホのアプリを使う感覚で構築できるパッケージです。The Sandboxでは3種類のSDKが用意され、初心者でも直感的な操作でゲーム制作が可能です。
制作したコンテンツはThe Sandboxマーケットプレイス(β版)で出品することも可能です。マーケットの販売手数料は非常に安く設定されており、クリエイターは売上の95%を手にする事ができます。
③NFTマーケットプレイス
The SandboxではNFTマーケットプレイスも設置されています。このマーケットプレイスではMetaverse上で使用することのできるキャラクターやアイテムが販売されています。
取引には仮想通貨SAND(サンド)が使用され、購入は誰でもできますが、出品するにはクリエイターとしての登録とThe SandboxのSDKの使用が必要です。 ウォレットの対応モデルは「Bitski」と「Metamask」で、既に「Metamask」をお持ちの方はメールアドレスとニックネームの入力だけでサインアップが完了します
プレイヤーとして楽しむ
プレイヤーとしてThe Sandboxを楽しむことができるのはまだ先の話になりそうですが、プレイヤーとしての楽しみ方について解説します。
プレイヤーはMetabase上に設置されたゲームの中から自分がプレイしたいゲームを選び自由にプレイすることができます。どのようなゲームが存在するかはゲームの公開を待つ必要がありますが、The Sandboxのゲームをすることでプレイヤーもマネタイズすることが可能です。
マネタイズ方法としては、ゲームプレイ自体の報酬とアイテムを入手してマーケットプレイスで売却しSANDを稼げる構想がなされています。獲得したSANDは、ウオレット経由で他の仮想通貨や法定通貨に両替することも可能となるでしょう。
クリエイターとして楽しむ
クリエイターであれば既にThe Sandboxを楽しむことが可能です。クリエイターとしての楽しみ方は現在3つあります。
①Game Maker
Metaverse上で動作する3Dゲームの製作ができます。VOXELと呼ばれるゲーム内で使用できるモデルを使用し簡単な設定をするだけで、3Dゲームが制作できる仕組みです。制作したゲームはMetaverse上で公開され、利用料を徴収するなどしてマネタイズをすることが可能です。
②VoxEdit
VoxEditはゲーム内でプレイするキャラクターやアイテムなどをVoxelと呼ばれる規格で制作します。VoxEditを使用して、Voxelを形作るための「モデラー」と動き(アニメーション)の設定をするための「アニメーター」の2段階でVoxelアートを作成します。制作したアート作品はクリエイターファンドのアーティスト登録をした後にThe SandboxのNFTマーケットプレイス出品・販売することができます。
③Avatar
アバターは従来から存在するアバターと同じ概念で、ここでは仮想空間上の自分自身を指します。The SandboxのMetaverse内での自分自身のアバターを制作することができます。自分のアバターを一から作ることもできますが、すでに用意されているアイテムの組み換えや、色の変更などでオリジナルのアバターを製作することが可能です。制作したアバターでMetaverseを訪れで友達と会ったり、知り合いを作ったりといった楽しみ方ができます。
もしクリエイターであればThe Sandboxから提供されているこの三つのSDKを使用してキャラクターとゲームを作り、プレイヤーへの公開の準備をしてみても良いかもしれません。
クリエイターでない場合でもSDKのダウンロードやゲーム制作は無料のため、ダウンロードしてソフトも触ってみても良いかと思います。3Dモデル制作の専用ソフトのような複雑さはなく、一般的なパソコンソフトを使用できる方であればさほど難しくなくゲーム関連アイテムの制作ができると思います。
投資家として楽しむ
投資家としても、既にThe Sandboxを楽しむ事が可能です。
The Sandbox内の仮想空間Metaverseの土地であるLANDを購入することで、土地オーナーとしての不動産経営が楽しめます。
LANDはコインチェックの「NFTマーケットプレイス(β版)」では発売後すぐに売り切れになりましたが、今後も販売される予定です。
世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaでは常にオークションで販売されています。Coincheck NFT(β版)でもThe Sandboxを取り扱っているので、自分で仕入れたLANDをCoincheck NFT(β版)に出品したり、出品されたものを購入することも可能です。
③まとめ
The Sandboxのエコシステムの仕組みは非常にシンプルですぐに理解することができるため The Sandboxが成功すればブロックチェーンゲームのエコシステムのモデルとなる可能性も高いと感じます。筆者としてもThe Sandboxに関しては今後も注目していきたいと思います。
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中島 翔
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