今回は、NFTのヒット要素について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- NFTコレクションのヒット商品とは?
1-1. NFTのヒットコレクション
1-2. CryptoPunks
1-3. BAYC(Bored Ape Yacht Club) - ヒットコレクションの共通点から探るヒットの要素
2-1. セレブリティによるSNSでの利用
2-2. コミュニティによる支持 - まとめ
2021年はNFT市場規模が急拡大した年となりました。2020年前半のNFT市場規模は約360億円でしたが、2021年末までに1兆6,000億円〜3兆円に拡大しています。NFT銘柄数も増える一方で、売れ筋となるNFTの傾向も徐々に現れてきています。これらからNFTへの投資を考えている方のために、NFTのヒットコレクションの解説と、人気の出ているNFTの共通点について考察したいと思います。
①NFTコレクションのヒット商品とは?
まずは、NFTのヒットコレクションについていくつかご紹介します。
1-1. NFTのヒットコレクション
どのようなNFTコレクションが人気があるのかは、いくつかのサイトで確認することができます。現在、NFTの主流はデジタルアート系ですが、最も取引量が多いNFTマーケットプレイス「OpenSea」のランキングを見ると、全期間で最も取引されているNFTコレクションが「CryptoPunks(クリプトパンクス)」と「BAYC(Bored Ape Yacht Club:ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)」です。それぞれ以下のようなステータスとなっています。
CryptoPunks | BAYC | |
アイテム数 | 10,000点 | 10,000点 |
取引量 | 864,500 ETH(約2,500億円) | 424,500 ETH (約1,000億円) |
オーナー数 | 約3,500アドレス | 約6,400アドレス |
なお、デジタルアート系以外のNFTコレクション の総合ランキングでは、ブロックチェーンゲームAxie InfinityのNFTの取引量が約38.1億ドル(約4,350億円)です。先の二つのNFTコレクションに比べるとAxieの方が圧倒的にユーザー数が多いという特徴があります。
1-2. CryptoPunks
現在最も人気のあるNFTコレクションといえるCryptoPunksについて解説します、
CryptoPunksは2017年にLarva Labsに発行された、最古のNFTコレクションの一つです。CryptoPunksは24ピクセル四方のドットアートであり、「エイリアン」、「エイプ」、「ゾンビ」、「フィメイル」、「メイル」のカテゴリーに分類できる1点物からなる10,000点のコレクションです。当初、イーサリアムウォレットを持っている人なら誰でも無料で入手できるNFTとして配布されました。
CryptoPunksの公式ページでは、NFTマーケットプレイスにおけるコレクションの販売ステータスをウォッチできます。イラストの背景が青色のPunkは未販売、赤い背景は販売中、紫色の背景はオークション中という事を示しています。
現在、CryptoPunksの平均価格は2,000万円以上となっています。価格上昇のきっかけは、昨年8月のクレジットカード会社大手VISAによるCrypto Punksの購入です。この報道をきっかけに平均単価が2倍になっています。
1-3 BAYC(Bored Ape Yacht Club)
BAYCは、特徴的な猿の絵柄のアート系NFTコレクションです。BAYCも10,000点のNFTコレクションで、170以上の表情や頭の形服装などのパーツを組み合わせてプログラムで生成されています。
BAYCは2021年4月よりOpenSeaで販売が開始された新しいNFTコレクションです。販売当初は、0.08ETH(4,000円程度)でしたが、現在では最も安いものでも40ETH~50ETH(1,600万~2,000万)となっており、急上昇しています。
BAYCの価格上昇のきっかけは、NBAの人気選手ステファン・カリーや、ヒップホップMC・ラッパーのエミネム、カナダのポップミュージシャンであるジャスティン・ビーバーなど多くのセレブリティが購入した事でした。彼らはSNSのプロフィール画像として利用したことも話題となっています。
BAYCはその名の通り会員制クラブという要素もあり、NFTが会員証としても機能するため、保有者は会員限定の特典などにアクセスすることができます。さらに、AdidasのNFTコレクションとのコラボ企画でMetaverseのモチーフとして採用されるなど、度々話題を提供している点も人気が維持される要因となっています。
②ヒットコレクションの共通点から探るヒットの要素
次にヒットコレクションであるCrypto PunksとBAYCの共通点から、NFTのヒット要素について考察します。
2-1. セレブリティによるSNSでの利用
CryptoPunksもBAYCも、セレブリティに支持され、SNSのプロフィール画像として多用されています。彼らのフォロワー数は桁違いに多く、NBAプレイヤーのステファン・カリーのTwitterフォロワー数は1,500万人以上、エミネムに至っては2,200万人以上に上ります。
プロフィール画像は必ず目にする部分でもあるため、その宣伝効果は高く、仮想通貨ユーザー以外の注目も集める事になります。このような影響力の大きなセレブリティーによる支持の有無は、NFTコレクションの価値上昇にも大きく影響をしそうです。
2-2. コミュニティによる支持
CryptoPunksもBAYCも、NFTの購入を通してコミュニティへの帰属意識を示すことができるという共通点があります。
CryptoPunksはその出自からイーサリアム(ETH)コミュニティーに支持されていますし、BAYCは会員制クラブへの参加権を得られます。つまり、NFTへの投資を通して、オンラインコミュニティへ所属しているというステータスを取得しているのです。
その点から考察するに、仮想通貨業界や社会的に有力なコミュニティからの支持を受けている、といったストーリーがあるかという点が、NFTコレクションの価格上昇に大きく影響する要素の一つと言えそうです。
③まとめ
Coincheckの「Coincheck NFT(β版)」やGMOコインの「Adam by GMO」日本のNFTマーケットにおいても、今回考察したような観点でNFT銘柄を探してみるのも、一つの方法だと言えます。
また、OpenSeaなども海外のNFTマーケットプレイスでNFTを購入する際に必要となるイーサリアムの購入などもできるため、NFT投資をお考え方は、まずは日本の仮想通貨取引所で口座開設されることをおすすめします。
中島 翔
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