web3を社会貢献に活かす、気候変動と難民問題に対峙するNFTアートプロジェクトとは

※ このページには広告・PRが含まれています

SDGsの推進と並行して、企業界からもWeb3のテクノロジーを活用し、環境保全への意識を反映した新たなサービスやプロジェクトの取り組みが広まっています。ネクストワンクリエイト株式会社と、58株式会社は、この流れに乗ってNFTアートプロジェクト『RE:VISION ART PROJECT』を通じて、気候変動と難民問題に対する新たなビジョンを描き出しています。

このプロジェクトでは、NFTの配布システム開発やDAOプラットフォームの構築など、web3の力を活用し、今までにない社会貢献の形を展開しています。さらに、プロジェクトを支える人々には、完成したアート作品の一部を無料でNFTとして提供し、コミュニティへの参加を呼び掛けています。

本稿では、この気候変動と難民問題に取り組むNFTアートプロジェクトの特色や、Web3のテクノロジーがSDGsの達成にどのように役立つのか、具体的な例を交えて深く探っていきます。

目次

  1. 気候変動と難民の関係
  2. NFTアートを使って気候変動と難民問題に挑む
    2-1.これまでのACTION
    2-2.若者世代とワークショップを実施して採用されたアーティスト
  3. 支援者にNFTプレゼントとコミュニティ招待
  4. 主催の株式会社SEAMESとは
  5. ブロックチェーンを使った環境保全のプロジェクトとは
    5-1.カーボンクレジット市場の課題解決のためのKlimaDAO
    5-2.白馬村でサステナブルリゾート実現 に向けたNFTを活用した実証実験
    5-3.ブロックチェーンを使ったカーボンマーケット「Climatetrade(クライメートトレード)」
  6. まとめ

①気候変動と難民問題:その密接な関係性

世界各地で気候変動に起因する自然災害が発生し、人々の生活は大きく脅かされています。アフリカのサヘル地域では、気温が世界平均の1.5倍のペースで上昇しており、その結果、農地の約80%が劣化したと国連は推測しています。さらに、主要な水源であるチャド湖の水位は過去60年間で95%も減少し、水の獲得を巡る争いや衝突が絶えない状況になっています。

太平洋に位置する島国キリバスは、その平均海抜がわずか2メートルということから、地球温暖化による海面上昇により水没の危機に瀕しています。そして、キリバスのような立場にある島国は決して少なくありません。

アフガニスタンでも厳しい干ばつが発生しており、各地で食糧危機や健康被害を引き起こし、人道的危機を招いています。干ばつの影響は広範囲に及び、特にヘルマンド地域では不毛な風景が広がっていると言われています。

世界でも人口密度が高いと言われるクトゥパロン難民キャンプでは、新型コロナウイルスの感染拡大とモンスーンの被害が同時に発生し、難民たちは苦境に立たされています。さらに、モザンビークの海岸沿いの町ベイラはサイクロン被害が最も甚大な地域の一つとなっています。

②NFTアートで社会問題に対峙するRE:VISION ART PROJECT

REVISION ART PROJECT 0

『RE:VISION ART PROJECT』は、気候変動と難民問題に対する社会的な無関心を打破し、問題解決に向けた一歩と連帯感を生み出すことを目指すアートプロジェクトです。特設ウェブサイトから10,000口の支援を集めることを目指しており、その目標達成と共に、「今、行動を起こすことで可能となる未来」を描いたアート作品全体が公開されるという仕組みになっています。

プロジェクト名の「RE:VISION」は、「改訂・修正」を意味し、悲劇的な未来を「書き換え」、そして「新たな未来を描き直す」意志を強く示しています。

2-1.これまでの取り組み

ACTION 1: アート作品の制作

このプロジェクトでは、気候変動や難民問題に強い関心を持つ若者たちとのワークショップを基に、気象予報士の太田絢子さんの監修とアーティストの東京幻想さんの手によって、二つのアート作品が制作されました。「今、行動を起こさなければ迎えることとなる未来」と「今、行動を起こすことで実現可能となる未来」 – これら二つの作品は、現状と可能性を対比することで、私たちの行動が未来に与える影響を描き出しています。

ATCION 2: 渋谷駅東口地下広場に設置されたチャリティアートウォール

REVISION ART PROJECT
上記のアート作品を掲載した、チャリティアートウォールを1月16日(月)から1月31日(火)までの期間、渋谷駅東口地下広場に設置されました。掲載アート「今、行動を起こすことで実現できる未来」にはモザイクがかかっており、特設サイトからRE:VISION ART PROJECT に対する1口の支援毎に、特設サイト上でモザイクが1つ剥がれ、合計10,000口の支援が集まると、作品の全容が明らかになります。

2-2.若者世代とワークショップを実施して採用されたアーティスト

Shibuya

アート作品制作の担当は、Youth UNHCRをはじめとする社会問題に関心の高い若者世代と、気候変動と強制移動が引き起こす「悲劇的な未来」と、その問題が解決された「理想的な未来」について語り合うワークショップを実施し、アーティスト「東京幻想」が選ばれました。ワークショップの内容を踏まえて、東京幻想が気候変動と強制移動が引き起こす「悲劇的な未来」と、その問題が解決された「理想的な未来」の姿を描いたアート作品が制作されています。

「東京幻想」というアーティストは、普段見慣れた街の風景が非日常的なものに変わる、例えば人気の商業施設が廃墟になっていたり、 最寄りの駅前が水没したり、さらには緑で覆われた動物の楽園になっていたりと、 そういった空想作品を15年近く描き続けています。また国内の映画ポスターや国内外の雑誌、メディア等に多数掲載されており、現在は主にゲーム背景制作を中心に活動中です。

東京幻想は、今回のアート作品を通して何か感じるものがあれば、今後、そういった事象に関心を持って一人一人がわずかでも行動してもらえれば幸いだと述べています。

③支援者にNFTプレゼントとコミュニティ招待

NFT GIFT
特設サイトから RE:VISION ART PROJECT に対する支援を行った支援者には、完成したアート作品の一部を分割した1ピースをNFTとしてプレゼントされます。NFTが初めての方でもメールアドレスのみで、簡単に受け取りが可能となっています。配布は2023年3月以降を予定しています。

またNFTを受け取った方は、支援者限定コミュニティに招待され、会員限定の企画やコンテンツに参加することができます。そして会員同士で社会問題への理解を深め、ともに問題解決へと活動を行っていきます。

支援金額は、500円、1,000円、3,000円、4,000円、5,000円、12,000円、25,000円があります。支援金は特定非営利活動法人国連UNHCR協会を通じて、難民支援活動に役立てられます。

④RE:VISION ART PROJECTを主催するSEAMES

RE:VISION ART PROJECTのプロジェクトを主導しているのは、株式会社SEAMESです。彼らは、社会問題の解決が「難しい」や「自己犠牲が必要」といったイメージを払拭し、アートやメディア、エンターテイメントの力を用いて、楽しみながら、感動的で発見に満ちた方法で社会課題に挑むクリエイティブ集団です。彼らの得意とする領域は、アートやデザインを駆使した直感的なクリエーションや、若者を中心とした話題づくりです。メンバーには、NPOの代表から大学研究者、デザイナー、クリエイター、学生など、多様なバックグラウンドを持つ人々が参加しています。

⑤ブロックチェーンを使った環境保全のプロジェクトとは

環境保全のためにWeb3の技術を使ったプロジェクトが国内外で複数存在します。中には参加することでNFTが付与されるものもあるので気になる方は以下をチェックしてみてください。

5-1.カーボンクレジット市場の課題解決のためのKlimaDAO

近年、ブロックチェーン技術を活用した「再生金融」の流れが出てきています。これはReFi(Regenerative Finance)と呼ばれ、生態系の回復や気候の安定化などを目指すムーブメントです。ReFiの起源は、中央管理者が不要な金融サービスを提供するDeFi(Decentralized Finance)という分散型金融にあります。ReFiは、このDeFiに思想や哲学のポリシーを組み込むことで進化したものです。

その一例として「KlimaDAO」が挙げられます。KlimaDAOは環境保護活動家や起業家、Web3.0のデベロッパーたちが集まって形成した分散型自律組織(DAO)で、「オンチェーンカーボンマーケット」を作り上げ、環境にプラスの影響を与える測定可能なソリューションを提供しています。KlimaDAOの目指すのは、透明性の高いオープンソースのコミュニティの創出であり、「カーボン・クレジット市場」の課題解決が主な目標です。

詳しい内容はこちらの記事に掲載されています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

5-2.白馬村でサステナブルリゾート実現 に向けたNFTを活用した実証実験

株式会社Final Aimは一般社団法人白馬村観光局や株式会社新東通信 / CIRCULAR DESIGN STUDIO.と共に、NFTを活用した実証実験を長野県白馬村で行うことを発表しました。「Non-Fungible HAKUBA」プロジェクトと名付けられたこのプロジェクトでは、Web3の技術を使って「サステナブルリゾート実現」に向けた有効な活用法を探るための実証実験が行われました。

この実証実験では、冬の白馬村の写真を公募し、それぞれの写真に関連する撮影情報(時間、場所など)をブロックチェーンに記録し、特設サイトで公開しました。そして、写真を提供した人々に対して証明書としてNFTが発行されました。写真の募集期間は既に2022年に行われ、写真は特設サイトhttps://nf-hakuba.comにて公開されています。

写真をNFT化した情報を基に生成された3Dマップデータを使って、3Dプリントのオブジェが作成されました。そのオブジェの表面は、白馬村の地形を写真撮影された位置情報をもとに再現しています。また、裏面には投稿画像のNFT情報が刻印されています。

この詳細については以下の記事で詳細をご覧いただけます。ご興味のある方はぜひご覧ください。

5-3.ブロックチェーンを使ったカーボンマーケット「Climatetrade(クライメートトレード)」

現在、温室効果ガスの削減効果(削減量や吸収量)をカーボンクレジット(排出権)として発行し、これを企業や個人間で取引することができる仕組みが普及してきています。この中で、ブロックチェーン技術を活用することでより安全かつ効率的なカーボンマーケットを提供しているのが「Climatetrade」です。

Climatetradeは、「気候変動対策のパイオニア」として、イノベーションを通じた大規模な脱炭素化を推進し、気候変動に取り組む方法を模索している個人や企業に対し、革新的なソリューションを提供しています。

具体的には、トークン化されたカーボンクレジットを取引するマーケットプレイスを展開し、それぞれの自治体などが発足させた森林プロジェクトなどから直接的に炭素オフセットや再生可能エネルギー使用証明書を購入することが可能なブロックチェーンベースのマーケットを提供しています。

Climatetradeの詳しい内容や活動はこちらの記事に掲載されています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

⑥まとめ

NFTアートプロジェクトは、気候変動と難民問題に取り組む新たな形の支援活動として注目を浴びています。特にNFTアートが付与されることで、支援者にはその支援の証としてNFTアートが残るという特徴があります。また、プロジェクトが地球環境にもフォーカスしていることから、気候変動によるリスクについての認識を深めるきっかけにもなります。

温室効果ガスの排出は気候変動の主な原因とされており、削減効果をカーボンクレジットとして取引することが増えています。ここにブロックチェーンを導入することで、取引履歴を安全に保管し公開することが可能になり、企業などが気候変動対策に取り組みやすい環境を提供します。

また、自然の美しい景色を写真に収め、それをNFTとして残すことにより、多くの人々が自然環境の大切さを認識し、その保全に対する関心を高める効果も期待されています。

こうしたWeb3の技術が環境保全に役立てられるという事例は、これからも増えていくことでしょう。その最新の動向を知るために、各種情報サイトをチェックしてみてください。

The following two tabs change content below.

立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。